TrendForceの調査によると、2021年第3四半期におけるサーバDRAMの大口契約価格が、期の半ばも過ぎているにも関わらず、多くの顧客との間で最終合意に達することが困難な状況に陥っているという。
7月の価格動向については、主流の32GB RDIMMの価格は前月比5〜7%上昇したが、値上げによって需要が減少傾向となり、2021年第3四半期におけるサーバDRAMの販売ビット数量はわずかながら減少する兆候が見られるという。また、新たなサーバCPUプラットフォームがリリースされたことで、より高密度の64GB RDIMMの調達が促進されているが、1サーバあたりの調達量が増加する動きは見られず、購入者の一般的な傾向は、DRAMサプライヤが以前に予想していたように、1対1で交換するのではなく、2つの32GBモジュールを1つの64GBモジュールに交換するというものとなっているという。64GB RDIMMの契約価格も7月に前月比5〜7%上昇したとする。
第3四半期は伝統的にサーバDRAMのピークシーズンであるため、TrendForceでは同四半期にサーバDRAMモジュールの需要が増加することが予想されることから、その結果、契約価格についての妥結が難しい状況にあると見ている。また、DRAMサプライヤ側は、新たなサーバCPUプラットフォームの登場により、搭載メモリ容量の増加を予想するといった楽観的な需要見通しにより製品構成を調整し、多くの生産能力をサーバDRAMに割り当てる状態となっているという。
そのため、第3四半期のサーバDRAMの供給量が増加しているが、データセンターを中心とするサーバDRAM購入者はすでにこれまでの調達活動から高レベルの在庫を抱える状況となっており、そうした在庫の消費に時間を要するため、新たなDRAMモジュールの調達には消極的になっているとのことで、すでに契約を完了している北米のエンタープライズサーバOEMを除く、多くのクラウドサービスプロバイダや中国のエンタープライズサーバOEMなどとは未だに交渉が継続しているという。
なお、DRAM市場は、2021年に入ってサーバ、PC、その他の主要なアプリケーションいずれもで需要の減速感が出ており、その結果、徐々に供給過剰へと移行しつつあるとみられるという。しかし、DRAM市場は大手3社による寡占市場であるため、サプライヤ側が価格交渉に対する影響力を有しており、2021年第3四半期のサーバDRAM見積額は前四半期比で5~10%ほど上昇する可能性があるほか、第4四半期については第3四半期以上の不確実性が生じる可能性があるとしている。