KDDIは8月17日、KDDI DIGITAL GATEの5G環境とAWS Wavelengthを活用して、スマートフォンでビルや都市空間のデジタルツインを体験できるVR表現技術の実証実験を実施し、低遅延かつ高精細な映像伝送が可能であると確認したことを発表した。
なお、同実証実験はstuおよび、渋谷未来デザインを中心とした参画企業で組成する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」の協力の下、渋谷区の都市空間を題材に実施したとのことだ。
同社はこれまで、5Gなどの技術による都市課題の解決とエンターテインメントの活性化を目標に、stuや渋谷5Gエンターテイメントプロジェクトと連携して、「SUPER DOMMUNE tuned by au 5G」における安心・安全なライブ・ストリーミング環境を整備してきた。
また、ストリーミング技術を活用した音楽ライブのAR演出などにも取り組んできた知見から、同実証実験では5GとAWS Wavelengthを活用して、新たな事業創造を目指したとのことだ。
実証実験では、5GとAWS Wavelength上のGPUインスタンスによるサーバーサイド・レンダリングを活用することで、パソコンやワークステーションで実行処理が必要な大容量の3Dデータや、ハイエンドなグラフィックスで構成した商業施設空間、都市空間、ライブコンサート空間などの建築データを、仮想空間としてスマートフォン上で表示できるシステムを構築したという。
同社は同実証実験の結果から、5GとAWS Wavelengthを活用することによって、低遅延な映像伝送やインタラクションが実現できることを確認した。さらに、サーバ上で実行されているソフトウェアをリモート操作して、レンダリングされた映像を視聴端末に5Gでストリーミングする方式を採用したため、大容量のデータを事前にダウンロードする必要がなくなったとのことだ。
また、3Dデータの再現にはUnity Technologiesが提供する、高精細レンダリングパイプラインHigh Definition Render Pipeline (HDRP) を採用しており、アプリケーションの実行をサーバサイドで行っているため、モバイル端末でも高精細レンダリングパイプラインが使用可能であるという。
仮想空間上に再現したビルや都市空間の建築用3Dデータは、日光の向きを反映した影を再現可能であり、不動産業界などでシミュレーションを行う際に活用できる。さらに、バーチャルヒューマンやボリュメントリックビデオ (3Dビデオ) など、写実的なコンテンツを活用した仮想空間におけるエンターテインメント体験の提供にも活用できるとしている。