Samsung Electronicsが、これまで利益の少なかったファウンドリビジネスの製造受託価格を値上げすることを検討していると、韓国 朝鮮日報のビジネスWebサイトChosun Bizが同社の関係者からの情報として報じている。

それによると、Samsungはこれまで、ライバルとの競争上、市場シェアを維持するために低価格政策を敷いてきたが、2020年から始まったコロナ特需によって半導体需要が急増し、半導体不足からファウンドリの価格交渉力が高まってきているという。

業界関係者によると、顧客からは割増金を支払うから優先的に生産してほしいという依頼がファウンドリに対して出ている模様で、ファウンドリと顧客の間における価格交渉でファウンドリ側が優位に立つ状況になっているためだとしており、Samsungも「供給価格の現実化」と称してファウンドリの製造受託費の値上げを検討しているという。

SamsungのシステムLSI/ファウンドリ事業の2021年第2四半期の営業利益は、約3000億ウォン(約280億円)と推定されているが、半導体全体の営業利益の5%程度に過ぎないという(半導体事業の営業利益の95%をメモリが占めている)。

半導体のプロセスの微細化には莫大な設備投資が必要である。Samsungでも、米国の先端ファウンドリファブの増設のために19兆ウォン(約1兆8000億円)の投資を計画しているが、そうした資金を捻出するためには、ファウンドリ事業の営業利益を高める必要があるという。

すでに台湾のファウンドリ各社は1~3割程度の値上げを行っており、Samsungが値上げしても顧客がすぐに台湾の競合に移るというような状況ではないようではあるが、このような値上げが進めば、電子業界や自動車産業などの最終製品の価格上昇につながる可能性もあるとみられる。