プラズマ物理学の進歩に貢献した研究者に贈るチャンドラセカール賞の第8回受賞者に、韓国・ソウル国立大学のハム・タクス教授が選ばれた。アジア太平洋物理学会連合プラズマ物理分科会(菊池満代表理事)が発表した。表彰式は9月27日にオンラインで開かれる第5回アジア太平洋プラズマ物理学国際会議で行われる。

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    ハム・タクス教授(アジア太平洋物理学会連合提供)

授賞対象の研究は、核融合反応で発生するプラズマを炉に閉じ込めるため、ドーナツ状の強い磁場を使う技術「トカマク」に関するもの。プラズマに乱流が生じて温度が上がりにくくなる現象などの解明で、大きな成果を挙げたことが評価された。「特に、フローせん断効果と非局所輸送プロセスの理解、および現代非線形ジャイロ運動論の先駆的な開発への卓越した貢献に対して」という。8月10日に発表した。

ハム教授は1957年、ソウル生まれ。ソウル国立大学で学士号、米プリンストン大学で博士号を取得。米プリンストンプラズマ物理学研究所特別研究員、ソウル国立大学専任教授、韓国・国立核融合研究所(現韓国核融合エネルギー研究院)先端技術研究センター長などを歴任した。磁場核融合プラズマ研究での多くの貢献で国際的に知られる。

チャンドラセカール賞は、インド生まれの米国の天体物理学者で1983年にノーベル物理学賞を受賞し、プラズマ物理学にも貢献したスブラマニアン・チャンドラセカール氏(1910~95年)を記念したもの。アジア太平洋物理学会連合プラズマ物理部門(現分科会)が2014年に創設した。

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