半導体製造装置メーカーのディスコは8月6日、広島事業所・桑畑工場A棟に免震構造の地上8階建ての新棟(Dゾーン)を竣工したことを発表した。

Dゾーンの竣工により、同工場の延べ床面積は従来比で約1.3倍に拡張。増設されたDゾーンでは、主に半導体や電子部品材料の切断、研削、研磨を行う精密加工装置に取り付けて用いられる消耗品である精密加工ツール(切断ブレードや研削ホイール)の生産が行われる計画で、同社では生産効率向上を目的とした自動化設備の開発を推進していくとしている(既存棟から一部をDゾーンに移設することも予定しており、移設で空いたスペースを装置の生産スペースに割り当て、増産に対応する予定ともしている)。

また、Dゾーンでは工業用水・生活用水として、およそ1,000トンの用水を備蓄可能としており、これにより断水時でも精密加工ツールの生産を概ね10日程度継続できるようになるとしているほか、各所に上水や雑用水といった生活用水を合計約560トン貯水することで、有事の際でも工場上階の社員寮居住者や災害復旧にあたる従業員、一時避難が必要な従業員やその家族などが10日程度生活することを可能としたとしている(生活用水の貯水槽は既存棟にも順次設置予定だという)。

なお、同社A棟は最初のAゾーンが2010年1月に竣工。以降、増築工事を繰り返し進めてきており、今回のDゾーンの竣工で3回にわたる増築工事が完了したことになるという。Dゾーンは2021年8月より精密加工ツールのユーティリティ不要な生産工程を手始めに順次稼働を開始し、ユーティリティ工事の完了後、9月以降に大型機械の新棟への移設などを進め、同年12月には新たなスペースでの精密加工ツールの試作品生産ができるようになる計画だとしている。

  • ディスコ桑畑工場A棟

    ディスコ桑畑工場A棟の全景 (画像提供:ディスコ)