キズナアイと献血センターとのコラボで初お披露目したWARPE
リコーの新規事業創出プログラム「TRIBUS」から生み出された立体投影装置「WARPE」(ワープイー)を用いたイベントが、横浜駅東口クロスポート献血ルームで7月28日から30日までの3日間にわたり開催された。
WARPEが一般公開されるのは同イベントが初めてとなった。
同イベントは、SNSの合計フォロワー数が1000万人を突破したバーチャルタレント「Kizuna AI(キズナアイ)」と神奈川県赤十字血液センターとのコラボレーションで、献血を行った人が、WARPEを用いて3D映像となったキズナアイのオリジナルコンテンツを楽しむことができるというものだ。
神奈川県赤十字血液センターの小笠原聡 企画係長は「幅広い年齢層のファンを持つキズナアイさんとのコラボで、16才~69才までの献血が可能な幅広い年代の人にアプローチし、献血の裾野を広げたい」とイベントの意義を述べた。
実際に、コラボの効果はあったようで、イベント期間中は平日にも関わらず休日なみの予約および来場者数があったという。
肉眼で3D映像を楽しむことができる装置
WARPEは、装置の下から独自開発の特殊な回転スクリーンに光を投射し、当たった光の残像で立体化させた映像を表示するというもの。
専用のヘッドセットがなくても全方向から3D映像を見ることが可能になる点が強みだ。
事業責任者の灰谷公良氏(リコー TRIBUS推進室 WARPEシニアスペシャリスト)は「xR市場でなにかできないかと思っていたときに、現在はxRの出力デバイス側の選択肢が少ないことに着目した」と開発に至った動機を説明する。
今回のイベントでは、装置手前の“手のマーク”が描かれているパネルに手をかざすと2Dのキズナアイの映像が流れ、その映像がWARPEに移動すると立体映像となるというコンテンツが披露された。
イベント参加者からは「ノイズや画像の乱れがあったが、これが改善したらすごい体験になりそうだ」や「新しい技術に触れられたと感じた。今後映像がよくなると面白くなる予感がした」といった感想が寄せられ、立体映像としての面白さを評価する半面、映像品質は今後に期待するという声もあった。
事業責任者である灰谷氏は「3Dコンテンツを立体映像で見たことがある人が、まだあまりいないのではないかと思っている。立体映像が実現しているということをこのイベントで楽しんでくれたら」とし、映像品質に関しては今後もブラッシュアップを重ねていく予定だという。
WARPEは、今回のようなエンターテインメント向けの活用のほか、3Dを多方向から見ることができるという利点を生かし、シミュレーションといった分野で立体的な構造理解などといった用途も検討しているとしている。
また、現在はリアルタイムでの映像生成はできないが、将来的には可能となるものと見ており、例えばWEB会議システムで人物が実際に話しているかのように投影するといった活用も視野に入れているとする。
今後もいくつか実証実験を実施する予定があるとのことで、エンタメに限らない活用を模索していきたいというWARPE。どのような進展が見られるのか楽しみだ。