アルフレッサとヤマト運輸は8月3日、ビッグデータとAIを活用した配送業務量を予測するシステムと適正配車を行うシステムを共同開発し、導入を開始したと発表した。
現代の日本は高齢者人口が増加する一方で生産年齢人口は減少しており、社会保障費の増加とその財源確保が社会的課題である。特に近年では、新型コロナウイルス感染症の流行による影響が医療業界に大きな負荷を与えており、医療機関の対面業務における感染リスクの低減や、医療従事者の業務負担の軽減が求められている。
一方で物流業界においては、長距離ドライバーの不足などによって労働力不足が深刻化していることに加えて、気候変動リスクへの対策のために配送車両におけるCO2削減への取り組みに対する需要が高まっている。
こうした背景を受けて両社は、2020年7月21日にヘルスケア商品の共同配送スキームの構築に向けた業務提携を発表しており、今回の取り組みはその第一弾にあたる。両社はビッグデータとAIを活用して、顧客ごとに日々の配送業務量を予測するシステムと、適正な配車を行うシステムを開発した。
配送業務量予測システムは、アルフレッサがこれまでに蓄積した販売、物流、需要トレンドなどをAIで分析して、注文数や納品時の滞在時間などといった配送業務量の増減を予測するもの。AIが学習を重ねることで予測の精度がさらに向上し、より効率的な配車計画が作成できるようになるという。
配車計画システムは、配送業務量予測システムによって得られた情報を基にして配車計画を自動的に作成する。これまでにヤマト運輸が蓄積した配車ノウハウに加えて、渋滞などの道路情報も活用することで、効率的かつ安定的な配車計画を実現するとのことだ。
アルフレッサはこれまで、医療機関へ医薬品を納品する際に検品作業が不要となるパッケージ納品サービスを展開してきた。今回導入するシステムに加えて、デジタル機能を活用して事前検品を増やすことで、医療機関における対面作業の時間短縮にもつながるとしている。
両社は今回開発したシステムの導入によって、現在と比較して配送生産性が最大で20%向上すると試算している。同様に、走行距離およびCO2排出量を最大で25%、医療機関における対面作業時間を最大で20%削減できるとのことだ。同システムはアルフレッサの首都圏の視点から導入を開始し、順次、全国の支店に拡大される予定である。