韓国通商産業資源部(日本の経済産業省に相当)傘下の特許庁は、主要5カ国(韓国、米国、日本、中国、EU)における、2011年以降に出願されたFinFETならびに次世代トランジスタ構造「Gate-All-Around(GAA)」の特許出願件数の傾向をまとめたことを明らかにした。
それによると、2011年以降、毎年、主要5カ国に出願されたFinFET関連特許は、2017年に1936件と最大数を記録した後、減少に転じている。一方、次世代トランジスタ構造であるGAA関連特許は毎年30%近い増加を見せ、2017年に173件であったものが、2018年に233件、2019年には313件とまだ絶対数は少ないものの増加傾向にある。
また、2011年以降の各社のFinFETならびにGAA FET関連特許出願数のトップ10を見ると、FinFET、GAA FETともにTSMCがトップ。FinFETは2位に中国SMIC、GAAが2位にSamsung Electronicsが入っている。次いでIBM、GlobalFoundries(GF)、Intelと続き、6位に東京エレクトロン(TEL)が入っている。また、GAAの出願数シェアはTSMCが31.4%、Samsungが20.6%とこの2社で過半を超しており、IBMの10.2%、GF5.5%、Intel4.7%とその後を米国勢が追撃する構図となっている。
FinFET特許件数順位
- 1位:TSMC(台湾)
- 2位:SMIC(中国)
- 3位:Samsung Electronics(韓国)
- 4位:IBM(米国)
- 5位:GlobalFoundries(米国)
- 6位:UMC(台湾)
- 7位:Intel(米国)
- 8位:中国科学院(中国)
- 9位:Qualcomm(米国)
- 10位:ルネサス エレクトロニクス(日本)
GAA FET特許件数順位
- 1位:TSMC(台湾)
- 2位:Samsung Electronics(韓国)
- 3位:IBM(米国)
- 4位:GlobalFoundries(米国)
- 5位:Intel(米国)
- 6位:東京エレクトロン(日本)
- 7位:中国科学院(中国)
- 8位:Qualcomm(米国)
- 9位:imec(ベルギー)
- 10位:Applied Materials(米国)
TSMCは、2022年後半より量産を開始する予定の3nmプロセスでは、従来同様のFinFETを採用するとしている(GAAは2nmからを予定)一方で、Samsungは3nmからGAAを採用することを決めている。
なお、韓国特許庁のバン・ギイン半導体審査事務官は、この調査結果を踏まえ、「現在、5nmプロセスでの半導体製造が可能なのはTSMCとSamsungのみだが、Intelがファウンドリ事業へ進出を表明しているほか、米国バイデン政権の半導体への積極的な投資などを考慮すると、先端半導体の開発競争は今後、さらに激化していくことが予想される」とコメントしている。