リミニストリートは7月29日、世界13の市場の最高財務責任者(CFO)および上級財務責任者を対象に、デジタルトランスフォーメーション(DX)やIT投資への認識に関する調査を実施し、結果を発表。日本との違いを解説した。
調査の結果、グローバル平均と比較し、日本のCFOはDX投資の重要性への認識が高く、IT投資の検討にあたっては明確なビジネス価値を求めており、さらにCIOとのパートナーシップを重視する傾向が強いことがわかったという。また、現状維持のための運用管理コストにグローバル平均をはるかに上回る予算を割り当てていることが明らかになったという。
DXの優先度では、デジタルトランスフォーメーションは企業の優先事項のトップ5に入ると回答したCFOは80%で、デジタルトランスフォーメーションは自社の成功の鍵であると回答したCFOは71%など、デジタルトランスフォーメーションはCFOの最優先事項であることがわかったという。
この点について、日本リミニストリート 代表取締役社長 脇阪順雄氏は、「そうなんだろうな」と述べ、このあたりは想定通りだという見解を示した。
一方、新型コロナウイルス感染症による影響からの回復にはテクノロジーへの投資が不可欠であると回答したCFOは95%であるのに対し、新型コロナウイルス感染症によってデジタルトランスフォーメーションへの投資が増加したと回答したCFOは73%で、脇阪氏は「お金を掛けたくてもかけらない厳しい現状がある」と述べだ。
投資先については、大きな変化にもつながらないIT投資に、大事なお金を浪費することは控えるCFOは67%、必須ではないIT投資への支出を削減したいと考えているCFOは70%、確実なROIをもたらすデジタルトランスフォーメーションイニシアチブであれば、資金投入を検討する回答したCFOは77%で、脇阪氏は「CFOであってもデジタルトランスフォーメーションに関しては積極的に考えている。CFOはROIを見通せるところに投資をしたいと思っている人が増えてきている」と語った。
日本の特徴に関しては、諸外国と比較して、2021年もIT予算は現状維持と回答している割合が最も高く、グローバルが6%に対して、日本は14%となっている。
「デジタルが重要だと思いながらもIT予算が現状維持と考えているところがキーだ。グローバルと比べててもIT投資を増やしていくという戦略がとりづらくなっている」(脇阪氏)
一方、DXの優先度は、日本ではCFOの88%がトップ5の優先事項、65%がトップ3の優先事項であると回答。グローバルでは80%がトップ5の優先事項、59%がトップ3の優先事項、米国では、73%がトップ5の優先事項、52%がトップ3の優先事項であると回答しており、DXの優先度への意識はグローバル平均より高い。
「日本のCFOは、日本のDXは遅れているという認識が強い。また、日本はDXにポジティブだがリスクが高いと考える率が高い」(脇阪氏)
そのほか、現状の維持をするためのコストがかかるため、予算増が必要であると答えた割合がグローバルに比べて日本は高いという(日本:23%、グローバル:10%、US:7%)。
脇阪氏は日本の現状について、「COVID-19状況下で、世界に比べて日本IT予算は非常に抑えられている。これは日本の経済が大きく伸びていないところに要因があるかもしれない。また、日本のCFOは世界と比べてもDXが世界で勝ち残っていくために非常に重要だと思っているにもかかわらず、既存システムへの投資を削減し、DXへの再投資を行うイニシアティブが遅れている。CFOはCIOの危機感の少なさに不満を感じている」と総括した。