メルカリグループのソウゾウは7月28日、スマートフォンがあれば誰でもネットショップを開設できるEコマースプラットフォーム「メルカリShops(メルカリショップス)」の試験提供を開始し、EC化支援事業に参入すると発表した。ソウゾウは2021年1月28日にメルカリの完全子会社として設立、フリマアプリの「メルカリ」、US版の「メルカリ」、電子決済サービスの「メルペイ」に続く、メルカリの第4の柱となる新規事業として、「メルカリShops」を立ち上げる。
同日に開催された記者会見で、ソウゾウ 代表取締役CEO石川佑樹氏は「メルカリShopsを通じて、すべての価値あるモノに新たな売れる場所を提供する。CtoC領域で培ってきたことをBtoC領域で最大限に生かす」と、意気込みを見せた。
「メルカリShops」は、「かんたんで売れる」をコンセプトに、スマホ1つでネットショップを開設し、ショップ運営者が商品を直接販売することができるEコマースプラットフォーム。フリマアプリ「メルカリ」に出品するのと同じ操作で、誰でも「メルカリ」アプリ内にネットショップを持つことができ、独自の集客なしで「メルカリ」の月間1900万人超のユーザーに商品を提供できる。利用料も「メルカリ」と同じで、初期費用と月間利用料は無料で、売れた商品の10%が販売手数料としてかかる。
「メルカリShops」が「メルカリ」と違う点は、個人とお店でアカウントの使い分けができる点、商品の色やサイズ、各在庫数といった事業者が必要な項目が追加された点、「メルカリ」で頻繫に行われる値下げ交渉がなくなった点だ。「事業者は値下げ交渉に関わる時間をなくし、ものづくりの時間に専念できる」(石川氏)。
「メルカリ」は2013年7月よりサービスを開始しており、現在では月間利用者数は1900万人を超え、累計出品数は20億品を突破している。累計流通総額は約1兆5000億円で、1秒間に7.2品の商品が売れているという。また、コロナ禍による在宅時間の増加を受け月間利用者数が約250万人増加するなど、利用はさらに拡大している。さらに、店舗営業時間の短縮や観光客需要の激減などにより、従来オフラインで営業を行っていた事業者のEC化需要も高まり、フリマアプリだけでなくEC市場全体も拡大傾向にある。
その一方で、ECサイトの開設や運用、集客などのノウハウがないといった課題から、中小事業者の大半はいまだECサイトを開設できておらず、日本全体のEC化率はいまだ6.76%にとどまっているという。さらに、同社が小規模事業者を対象に実施した調査によると、ECサイト開設者のうち、商品が「売れている」のは25.3%と、約4分の3は実際にECサイトを活用できていない現状がある。
同社は「メルカリ」の1900万人超の顧客基盤を活用し、こうした課題の解決に努める。2021年9月に予定している「メルカリShops」の本格提供に先駆け、7月28日より主にクリエイターや生産者・小規模事業者などを対象とした先行出店の受付を開始する。また、2021年8月2日より購入者を対象とした「実質半額キャンペーン」も実施する。8月2日から8月30日までの期間、「メルカリShops」で商品を購入し評価を完了すると、合計購入金額の50%分のポイントを対象者に付与する。
また2021年中には、「メルカリ」アプリ内だけでなく、アプリ外にも独立したWebサイトとしてネットショップを開設できる機能の提供も予定しているとのことだ。記者会見に登壇したメルカリ代表取締役CEOの山田進太郎氏は「メルカリを個人だけでなく、事業者を含むすべての方へのマーケットプレイスへと進化させる」と語った。