中国の国営移動体通信企業である中国移動通信(China Mobile)の子会社でIoT事業を担う中移物聯網(China Mobile Internet of Things)が、全額出資の形で半導体の設計や製造を手掛ける新会社「芯昇科技(Xinsheng Technology)」(資本金5000万元)を設立したと中国の多数のメディアが報じている。

最初は、主にMCU、通信チップ、セキュリティチップの3つの主要分野に集中して取り組み、将来的にはさまざまな種類の端末にサービスを提供する予定にしているとするほか、半導体を組み込んだ家電製品やセキュリティ関連製品、コネクテッドカー向け製品の製造や販売も手掛けるという。中国政府の意向を受け、米国など外国の影響を受けない独自の半導体サプライチェーンを構築することを目指すようである。

Xinsheng Technologyの主要な半導体戦略戦は、RISC-Vコアに基づいたチップ製品の研究開発を行い、商用利用を促進し、成熟したRISC-V業界エコシステムを作成することだとしている。

韓国でも、移動体通信業界大手のSK Mobileが半導体ファブレス分野に乗り出し、独自のAIチップを開発しているが、こちらは今後、ファブレスIC設計分野に本格的に乗り出すため、2021年内に通信事業と新成長事業を分離させ、それぞれに適した経営構造を整備し、将来の成長の加速を図るとしている。

日本では、ソフトバンクグループが2016年に、英国の半導体IPベンダであるArmを約3.3兆円で買収したが、それを活かした半導体開発に乗り出すこともなく、2020年にNVIDIAに全株式を4.2兆円で売却することを発表している。