NECソリューションイノベータは7月21日、川崎市が提供する道路インフラにおける実証フィールドを使用し、量子コンピュータを用いた交通流解析により車両の動きをリアルタイムに把握するための実証実験を8月より実施することを発表した。期間は8月10日〜2022年3月31日。

  • 鋼管通り交差点のカメラ設置位置

    鋼管通り交差点のカメラ設置位置

川崎市では、交通渋滞や交通事故などの課題の解決に向けた取り組みを効率的に推進するため、ICT等のデジタル技術を活用した新しい製品や技術開発の現場実証に必要となるフィールド(同市が管理する道路施設等)を企業等に提供している。

NECソリューションイノベータは、量子コンピュータを活用して、道路や交差点で移動する車両を撮影した画像からリアルタイムに車の流れを把握し、その状況に応じて信号の制御等で交通渋滞を解消する研究を行っており、その効果を検証するため、川崎市が提供する実証フィールドの1つである鋼管通り交差点(川崎市川崎区)を使用し、交通流解析の実証実験を行う。

汎用的なカメラを交差点に設置し、1秒間に15~30コマ程度のシャッタースピードで車の流れを動画で撮影。各コマに写った車両が同一車両か判別するため、量子コンピュータを活用して車両の位置や外観の情報をもとに、条件が最も近い車両をマッチングさせる数理最適化を実行する。これにより、リアルタイムに車両の動きを捉え、交通の流れを把握できるか検証するという。

  • 量子コンピュータで車両の動きを把握する際のイメージ

    量子コンピュータで車両の動きを把握する際のイメージ

撮影には、高額な高性能カメラではなく汎用的なカメラを用いることで、将来的には交差点などに設置されているカメラなどの活用により低コスト化を実現し、より多くの地域での活用を目指すとしている。8月~9月は1台のカメラで実施して検証確認後、10月~12月は複数台のカメラで実施/検証するという。

使用する量子コンピュータはアニーリング型で、シミュレーテッド・アニーリングマシンを含むNECや他社製のコンピュータの機種から最適なものを選択するとしている。

この実証実験の結果から、季節や時間帯を踏まえた最適な交通流を把握し、将来的には信号の制御等で交通渋滞の解消を実現することを目指すということだ。