IDC Japanは7月20日、「2021年 国内データセンター(DC)管理者調査」を発表した。これは、国内のデータセンター管理者293名にアンケートを行ったもので、主にデータセンターファシリティ(建物、電気設備、空調設備、機械設備など)への投資やその運用課題などについて調査したという。このうち金融機関や製造業などの一般企業が所有する企業内データセンター(DC)の管理者は246名、ITサービス事業者や通信サービス事業者などが所有する事業者データセンター(DC)の管理者は47名。
同調査によると事業者DCでは、40%の管理者がデータセンターやサーバールームの新設予定があると回答したのに対し、企業内DCの管理者のうちデータセンターやサーバールームの新設予定があると回答したのは11%にとどまった。
ますます多くの企業のIT資産がクラウドサービス上で稼働するようになっているため、企業内DCを新設する傾向は弱い一方で、クラウドサービス提供に必要な事業者DCが次々と新設されているためだとしている。さらにそれに加えて、ソーシャルメディアやスマホアプリのようなネットを使った新たなサービスを提供するために、クラウドサービスに対する需要は一層拡大傾向が強まっていることも、事業者DCの新設が多く予定されている要因だと同社はみている。
このようなクラウドサービス拠点となる事業者DCは、「ハイパースケールデータセンター」と呼ばれるが、新設される建物の規模や電力容量の大きさが特徴だ。その一方で、事業者DCの中には、クラウドサービス提供を目的としないような従来型のDCの新設も予定されている。
これらの従来型DCの新設規模は、他社のDC内の一部のサーバールームを賃借することによってDCを設置するケースが多いため、ハイパースケールDCの新設規模より小さくなることも、今回の調査でわかったという。したがって事業者DCの新設投資は、大規模な建物建設を伴うハイパースケールDCと、小規模なサーバールーム構築にとどまる従来型DCとで二極化すると同社は指摘している。
「ハイパースケールデータセンターの新設投資が、国内データセンター投資の拡大を牽引する傾向は今後も続くだろう」と、IDC Japan ITサービス リサーチマネージャー 伊藤 未明氏はコメントしている。