Intelの日本法人であるインテルは7月20日、7月23日に開幕する東京五輪で活用される同社の技術を用いた視聴体験や大会運営に関する6つのプラットフォームについてのメディア向け説明会を開催した。
視聴体験に関するプラットフォームとして1つ目に紹介されたのは「3D アスリート・トラッキング(3DAT)」。複数台のカメラを用い、選手のフォームや動きを毎秒60フレームで記録し、センサを使わずにリアルタイムで、選手の加速度や時速などの競技データを表示することができるものだ。
肉眼では見えない情報の可視化を可能にし、観客に新たな視聴体験を提供するとしている。
3DATはインテルが開発し、Alibabaのクラウド・インフラストラクチャーにあるインテルのテクノロジーに基づくデータセンターにホストされ、オリンピック放送機構(OBS)とのパートナーシップを通じて、4台のモバイル・パンチルトカメラを使用して選手のフォームや動きを取り込み、「Intel Xeon プロセッサ」に最適化された姿勢推定アルゴリズムを適用して、選手の動きのバイオメカニクスを分析するという。
同システムは、データをオーバーレイ・ビジュアルに変換し、陸上競技の再生時に利用されるという。
2つ目のプラットフォームは「インテル True View」。これは会場全体に高解像度の小型カメラを設置し、会場全体からプレーを撮影。縦、横、奥行きを記録した膨大な量の立体映像データ(ボクセル)を取得し、そのデータをIntel Xeon プロセッサを基盤とするサーバやIntel Core プロセッサ搭載PCで処理・レンダリング・配信することにより360度のリプレイや3D、VR用のコンテンツなどの提供を可能とするものだという。
加えて、ボクセルのレンダリングにより、360度のリプレイや、肉眼では判定が難しかったプレーの確認も可能になるといい、バスケットボールの52試合を撮影し、放送権を有する各国の放送事業者を通じて配信される予定だとしている。
3つ目に紹介されたのは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が実施する「TOKYO 2020 5G PROJECT」にNTT、NTTドコモとともに参画し、5G商用ネットワークを用いた視聴体験の提供を行うというものだ。
NTTドコモの5G商用ネットワークにインテルのテクノロジーが採用されていることから同プロジェクトに参加したという
同プロジェクトにおいてインテルは、Intel Xeon スケーラブル・プロセッサを搭載するシステムを提供しているという。
4つ目は、Tokyo 2020 “Make The Beat!”応援プロジェクトにおいて使用された技術で、インテルのAI技術を用い、「2020beat」という選手を応援するための楽曲の作成を行ったというものだ。
2020beatに合わせて手拍子やダンスをした応援動画をSNSで投稿すると、競技会場のスクリーンなどで上映され、選手の応援につなげるというものだという。
インテルは、2018年開催の平昌冬季五輪で1,200台以上のドローンを飛行させるなど、五輪ですでにドローン・ライトショーを行った実績がある。5つ目として紹介されたのは、そんなドローンに関するもので、今大会では最新型の「プレミアム・ドローン」を提供するという。
1機あたりの重さは約300gで、高輝度LEDによる細かいグラフィックスの表現が可能であり、安定性の向上やバッテリーの長寿命化を実現した最新機種だという。
そして6つ目に紹介されたのは、大会運営に関連したプラットフォームで「IOC データ利活用プロジェクト」に参画し、インテルのプロセッサとAIプラットフォームをベースにIOCのデータ・プラットフォームを構築したというものだ。
例えば、スタジアム、バス、駐車施設といった所定エリアの混雑状況を把握できるようにし、収容能力に到達、あるいは収容能力に近づくとリアルタイムで警告が発令されるなどの仕組みを整えたという。すべてのデータは匿名化し、プライバシーを保護。取得したデータは今大会だけでなく、次回以降の五輪運営にも活用する予定だという。
発表を行った6つのプラットフォーム以外にも、技術提供をおこなっているという。
無観客となる東京五輪でインテルは、最新技術による新しい観戦スタイルや大会運営を提供していく姿勢だ。