TrendForceの最新の調査によると、2021年第3四半期のNAND契約価格は、季節的なピークシーズンの到来、データセンターからの強い需要の持続、そしてコントローラICの継続的な不足などから、前四半期比5~10%増の範囲で推移すると予測されるという。

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    NAND各種カテゴリ別契約価格の2021年第2四半期、第3四半期の前四半期比価格上昇率予測 (出所:TrendForce, 2021年7月)

NANDの適用アプリケーション別に見ると、クライアントSSDはノートPCの需要が引き続き堅調で、採用率が高まっているとのことで、その結果、同四半期の契約価格は同3~8%増と予測されるという。一方のエンタープライズSSDは、IntelのIce Lakeプラットフォームを採用したサーバ製品のリリースにともない、需要が増加しており、結果として、サーバの出荷も増加。結果としてPCIe 4/8TB SSDの平均契約価格は、第3四半期に15%も上昇すると予想している。

Chromebookを中心に活用されるeMMCは、Chromebookの需要が堅調であるほか、テレビやタブレットなども需要も第3四半期は伸びることが見込まれ、堅調に推移するものと見込まれるという。ただし、契約価格については、コントローラICの不足が続いているほか、eMMCの多くは古いプロセステクノロジーに依存しているため、供給量が限られているが、すでに大幅な値上げが実施されていることもあり、同0~5%程度の上昇に留まるとしている。一方、スマートフォン(スマホ)を中心に用いられているUFSも、一部のブランドが年産目標を引き下げる動きを見せる一方、Appleが次世代iPhoneに向け調達活動を活発化させているとされ、その契約価格は同0~5%の上昇と予想されている。

そしてNANDのウェハでの供給については、NANDサプライヤがデータセンターやエンタープライズサーバに関連する需要を優先していることに加え、エンタープライズSSDとしても4TBや8TB品の割合を高めているため、NANDのビット出荷数量の増加が続いていることなどから、そうした製品を優先することもあり、NANDウェハの供給を拡大する傾向にはないという。また、需要が弱まり始めたとしても、粗利益の拡大に向け、ウェハの契約価格の引き上げを継続して行っており、その結果、同四半期のNANDウェハ契約価格は同8~13%ほど上昇すると予測している。