ガートナー ジャパンは7月12日と13日の両日、オンラインイベント「ガートナー データ&アナリティクス サミット」を開催した。本記事ではその中から「学びを継続せよ - データ/アナリティクスを成功に導く鍵は何か」と題する、米ガートナーのバイスプレジデントでアナリストのガレス・ハーシェル(Gareth Herschel)氏の基調講演をレポートする。

  • 講演者の米ガートナー バイスプレジデント ガレス・ハーシェル(Gareth Herschel)氏

ハーシェル氏は冒頭、2001年に任天堂で起きた変化を引き合いに出した。

同社は同年にゲームキューブを発売したが、ハーシェル氏は「率直に言って評判は良くありませんでした」と振り返る。

情勢が厳しさを増す中で、同社は新たなユーザーを獲得するために必要なポイントを自問し、これによって集中すべき焦点がクリアになり、Wiiの成功につながったという。

このことからハーシェル氏は、優先課題を見直して最も重要な課題について考える時間を確保する必要性を訴える。

ハーシェル氏によると、データ/アナリティクスは現在、企業など組織にとっての最重要項目だという。

2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的なパンデミックを受けて、組織は急速な変化への対応を余儀なくされている。変化の激しい時代に組織が成功するには、データ/アナリティクスが必要だとハーシェル氏は説く。

  • 経営層にとっての最重要項目

成功のために取り組むべき要点として、ハーシェル氏は次の3つのポイントを挙げる。

①私たち(データ/アナリティクスの実務者)は単独では何もできないという厳しい現実
②絶え間ない変化に対応しなければならないという新たな課題
③私たちの影響力を拡大するための大きな機会

  • 成功のため取り組むべき3つの重要ポイント

第1の、厳しい現実とは何か。それは、データ/アナリティクスの実務者は、例えば営業や物流、マーケティングといった部門の代わりにはなれないということだ。また、組織に変革をもたらすには、組織全体を見渡し、必要と考える変化を後押ししてくれる協力者を探す必要があるという。

「重要なのは人であり、組織やグループではありません。人が変化を促します」(ハーシェル氏)

そのためには、ビジョンと道筋が認められる必要があり、共通のビジョンを確立するには、相手の課題を理解し、どのように支援できるかを示さなければならないとハーシェル氏は説く。

その事例としてハーシェル氏は、自動車部品メーカーであるZFの取り組みを示した。

同社は、部品交換の時期を改善できれば顧客のコストを削減できると気付いたが、必要なのは車両に設置する7ドルのセンサだけであり、それまではデータとして収集していなかったという。

ビジネスの目的から入り必要な能力を逆算したものの、データ/アナリティクスの能力から入っていたら、ビジネス価値を生み出す機会を逃していたかもしれないとハーシェル氏は指摘する。

  • ビジネス目的からの逆算で大きな効果を得ることも

ハーシェル氏は、「時間をかけて、最も変化に前向きなリーダーを見極めましょう。古いやり方を捨てて、データ/アナリティクスがもたらす新たな価値を活用するように、リーダーに働きかけましょう。組織の求めるビジネス成果を獲得できるよう、リーダーのパートナーとなってサポートしましょう」と呼びかけた。