TSMCが発表した2021年第2四半期(4~6月期)の決算概要によると、同四半期の売上高は前年同期比19.8%増の3721億NTドルと四半期ベースで過去最高を記録したが、純利益が同11.1%増の1343億NTドルに留まり、過去最高には届かなかったという。
売上高のプラットフォーム別の内訳はスマートフォン向け42%、HPC(パソコンやサーバー)向け39%、IoT向け8%、自動車向けは4%、DCE(データ回線終端装置)向け4%となっており、HPCおよび自動車向け売上高が前四半期比12%増と伸びている。
また、プロセス別の売上高比率は、5nmが18%、7nmが31%、16nmが14%、28nmが11%となっており、あまり評判のよくない10nmおよび20nmは0%となっている。前四半期と比べて、7nmが4ポイント減少した一方で、5nmが4ポイント増加しており、売り上げの中心が7nmから徐々に5nmに移行している模様である。
地域・国別売上高は米国が過半の64%を占める
地域・国別に売上高の割合を見ると、北米が64%と過半を占めて最も多く、次いで日本と中国を除くアジア・太平洋地域が15%、中国11%、EMEA(Europe, Middle East and Africa)6%、日本4%という順となっている。 中国からの売上高は2020年第2四半期には21%あったが、米中ハイテク戦争の影響で、最近は急減している。
日本のシェアは4%のままで増加傾向は見られない。TSMCは、海外に半導体工場を進出させるための第一条件は顧客の需要だとかねがね言っており、米国が伸び、中国が回復しているのに対して日本からの売り上げが伸びる見込みがないことは、TSMC工場の日本への誘致のネックになる可能性がある。
また、2021年第3四半期の同社による業績ガイダンスは以下の通りである。
- 売上高:146~149億ドル
- 粗利益:49.5%~51.5%
- 営業利益率:38.5~40.5%
なお、同社のMark Liu会長は、決算発表の際、投資家に向けて「グローバルな製造拠点」と題して、台湾、米国、中国の製造拠点における投資スケジュールを説明し、このほか複数の海外進出プロジェクトが検討段階にあると述べている。
日本への半導体工場進出については、台湾の証券会社の投資担当者の質問に答える形で、すべての可能性は排除せず検討しておりSpecialty Technology Foundry(台湾にある最先端のロジックファウンドリではない特殊技術のファウンドリ)を設置するDue Diligence(調査検討)の段階にあり、最終結論を発表するには早すぎると述べた。Specialty Technologyとは、一部でうわさされているイメージセンサや車載半導体、パワー半導体などの技術を指す可能性が高いと業界関係者は見ている。