半導体市場調査企業である台湾TrendForceによると、2021年第3四半期のDRAM価格は、2021年上半期に多くのメーカーが調達活動を活発に行ったため、前四半期比で3~8%程度と、第2四半期の18~23%増と比べ緩やかなものになるとみられるという。

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    2021年第2四半期および第3四半期のカテゴリ別DRAM価格の前四半期比上昇率予測 (出所:TrendForce)

PC向けDRAMの価格動向

新型コロナに対抗するべくワクチンの接種が世界中で進むが、一方で外出禁止令や外出自粛なども行われているため、ノートPCの需要は高止まりしているという。ただし、PCメーカーの多くがまだ約8~10週分のPC DRAM在庫を保有しているため、各メーカーともに調達は比較的保守的な動きとなっているという。

一方の供給面では、サーバDRAMに多くの生産能力を割り振っている関係から、PC DRAMに割り当てられる数量は必然的に減らされることとなり、依然として供給不足が続いているという。そのため、DRAMサプライヤ各社はPC DRAMの見積価格の引き上げを模索しており、第3四半期の契約価格は前四半期比3~8%の上昇とTrendForceでは予測している。

サーバ向けDRAMの価格動向

主要なDRAMサプライヤ3社(Samsung Electronics、SK Hynix、Micron Technology)はともに、サーバDRAMの在庫が比較的少ない状況となっており、四半期ごとに価格を上げることで収益性を維持しようとしている。

とはいえ、スマートフォン(スマホ)のDRAM需要が減少していることもあり、実際にはサーバメーカーが有利にサーバDRAM価格を交渉する余地が増えているとのことで、第3四半期のサーバDRAM契約価格は同5〜10%上昇の可能性があるとTrendForceは考えている。

モバイル向けなど、その他のDRAMの価格動向

モバイルDRAMに関しては、スマホ以外のアプリケーションの需要が増加している一方で、主要DRAMサプライヤ各社ともに、生産能力をあまり割り振っていないため、モバイルDRAMの供給がタイトとなり、その結果、同四半期の契約価格は同5-15%増と予測されている。

グラフィックDRAMに関しては、生産の大半がGDDR6製品に移行したものの、グラフィックカードメーカーとゲームコンソールメーカーによる奪い合いが起きており、GDDR6の需要は供給をはるかに上回る状況が続いている。その契約価格は、第3四半期に起こるとみられるサーバDRAMの注文増に対応するべく生産能力を割り振るため、供給量は限られることとなり、同四半期のグラフィックDRAMの契約価格は、前四半期比で8〜13%増となるとTrendForceは予想している。

そしてコンシューマ向けDRAMは、家電市場と通信市場で比較的堅調である。特に、中国が新型コロナのパンデミック後に向け5Gインフラストラクチャの構築とWi-Fi 6の展開を加速しているため、コンシューマ向けDRAMに対する需要は今後も堅調に推移する見込みだという。中長期的には、古い25/20nmプロセス製品の廃止と、より微細な1Z-nmおよび1α-nmプロセスへの移行が進む見込みであり、DDR3製品の供給量が減少する一方で、需要が維持されることを考えると、コンシューマ向けDRAMの価格は、最大で同13%増となるとTrendForceは予想している。