サトー、沖縄セルラー、KDDI総合研究所の3社は7月16日、沖縄セルラーがICTを活用した完全密閉型植物工場で栽培する沖縄のブランド苺「美ら島ベリー」の輸送の全過程において、RFID温度ロガータグ(ラベル)を用いて精緻に温度を管理するシステムを開発し、2021年6月から本格的に運用を開始したことを発表した。
近年、商品の鮮度の維持と品質劣化の防止のため、食品輸送においては最適な温度下での輸送や保管のニーズが高まっている。出荷時や物流業者の特定の中継点で商品の温度を計測する輸送管理はこれまでも行われてきた。だが、出荷の時点から継続的な温度履歴を取得し、管理を行うことは費用面などから実運用上、困難だった。
今回のシステムでは、サトーが開発したRFID温度ロガータグ「LogBiz - Thermo」(LogBiz)を出荷箱に添付し、出荷から納品まで5分ごとに、2週間分の温度履歴をLogBizに記録した。運用したLogBizは全体で約1000個となる。
温度データは、生産者や物流業者の入荷時および出荷時にスマートフォンの操作でクラウド上の温度推移管理システムにアップロードされ、閾値を超えた場合は、システムのオペレータに警告が表示される。同システムによって、美ら島ベリーの輸送過程まで含めた品質保証が可能になった。
システムの開発においては、サトーがLogBizの提供およびクラウド上の温度履歴管理システムの開発のほか、スマートフォン用のアプリケーションの開発を担当。KDDI総合研究所は、輸送中の温度変化による品質劣化に関する解析を担当した。今後は、温度変化による品質劣化を警告するシステム開発を予定している。