東京・池袋のサンシャイン水族館で特別展「スケ・ボーン展~meets カメの甲羅はあばら骨」(・の部分は実際には髑髏マークが入る)が2021年7月16日~2022年1月30日まで開催される。

同特別展はその名の通り生き物の“骨”に着目した展示だ。

これまで「ざんねんないきもの展」や生き物の“性“に注目した「性いっぱい展」などユニークな展示を行ってきたサンシャイン水族館だが、骨にフォーカスした特別展は初めてとなり、約2年にわたる構想期間を経てこの度公開となった。

  • ケープペンギン

    特別展の入り口でお出迎えしてくれるのはケープペンギンの骨格標本

骨は動かなくてつまらない……と思われるかもしれない。しかし、上の写真にあるケープペンギンの骨をよく見てみてほしい。ペンギンは飛べないことで有名だが、腕の部分に翼のような骨があるのがわかるだろうか。

これは、フリッパーと呼ばれる泳ぐときの推進力を得るために翼が板状に進化したものだ。また、短く見える足も、意外と長いことが分かる。普段は胴体の中に隠れているため短く見えるのだ。

このように、骨は私たちが普段見ている生き物の見えない部分を物語るとてもおもしろいものだ。

では、早速展示会場の中を見ていこう。

同特別展は、「軟骨と硬骨」、「なるほどTHEボーン」、「かくれんボーン」、「スケルテン」と書籍「カメの甲羅はあばら骨」とコラボレーションした「カメの甲羅はあばら骨ワールド」の5つからなっている。

「軟骨と硬骨」ゾーンは軟骨魚類と硬骨魚類に焦点を当てた展示で、その展示方法に“透明標本”を用いているのが特徴だ。

  • ハナオコゼの透明標本

    ハナオコゼの透明標本

上の写真がその透明標本の1つだ。硬骨を赤、軟骨を含むそれ以外を青に染め分け、その他の組織を透明にすることで体のつくりがよくわかるのが特徴だ。

そしてこの標本をよく見てほしい。お腹の部分に赤く染まった硬骨があるのがわかるだろうか。これはこのハナオコゼが捕食した魚の骨だという。このように何を食べたのかなどまで、さまざまなことが分かる。

そして、この透明標本は横から見ても体の中身やつくりが楽しめるのが特徴だという。

  • 横から

    ハナオコゼの透明標本を横から見た様子。捕食された魚もよく見える

このような透明標本が、魚類、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類と多種多様に展示されている。また、実際の生体とも比較できるように透明標本をより楽しめる以下の写真のような展示もされている。

  • アロワナ

    透明標本と比較して観察できるアロワナ

透明標本写真を背景に生体が展示されているのだ。上記の写真はアロワナだが、ヒゲが青く染まっており、硬骨ではないのがわかる。

生体と見比べることでより、理解を深め、体の中身を想像してほしいという思いからこのような展示方法をとったという。

2つ目のゾーンの「なるほどTHEボーン」は生き物の外見からはわからない骨の豆知識を生体と共にクイズ形式で紹介する形式だ。たとえば以下のようなクイズだ。

  • クイズ

    「なるほどTHEボーン」で出題されているクイズの一例

このクイズを実物を見ながら考えることができる。回答は展示の側面などに記載されているため、回答を確認したあとに生体を見てもおもしろい発見があるのではないだろうか。

  • キフォティラピア・フロント―サ

    キフォティラピア・フロント―サ

3つ目のゾーンは「かくれんボーン」。実は、特別展の企画担当者が見どころと答えたのはこのゾーンだ。

みなさんは「タイのタイ」と呼ばれる骨をご存知だろうか。硬骨魚の胸びれあたりに魚のカタチにそっくりな骨が潜んでいる。胸ビレを支えたり、動かしたりするのに使われる。魚のカタチに似ていることから「タイのタイ」と呼ばれているという。

  • 隠れんボーン

    「かくれんボーン」では魚によって形が違う骨に注目している

そしてもうひとつおもしろい骨がある。硬骨魚の頭骨の中に存在する骨、耳石だ。耳石は三半規管の一部で、聴覚や平衡感覚に関与しているが、さまざまな情報が刻まれており、木の年輪のように1年に1本形成される“輪紋”から年齢を読み取ることもでき、誕生日やその時の水温、塩分濃度まで耳石から読み取ることができるという。

これら2つの骨は、魚ごとに異なる形状をもっており、展示ではさまざまな種類の魚の「〇〇の〇〇」と耳石を展示している。

  • ホウボウ

    ホウボウのホウボウと耳石

展示されている骨は、サンシャイン水族館の飼育スタッフがスーパーなどで売られている魚を買い、骨を取り出したのだという。耳石はかなり小さいものも多いため、これが見分けられるとは驚きだ。

そして、硬骨魚であればこの2つの骨があるので、ご家庭などでこの骨を探し出すのも面白いだろう。もしかしたら自由研究の題材にもピッタリかもしれない。探し方も展示されていたので、ぜひ会場で確認してほしい。

そして4つ目のゾーンは「スケルテン」だ。このゾーンでは体が透けている生き物を展示している。

理由がはっきりわかっているものは少ないというが、体を透明にすることで捕食者から見えにくくするという効果があるとも言われている。

  • フライシュマンアマガエルモドキ

    フライシュマンアマガエルモドキは腹側から見ると身体の内部が透けて見え、その構造を知ることができ、心臓の動きまで観察できるという。葉っぱの裏にいることが多いので来場の際には隠れている場所を探してみてほしい

ほかにも体が透けて骨が見える魚や、クラゲ、葉の先に透明な窓をもつ植物などが紹介されている。

そして、最後のゾーンとなるのが「カメの甲羅はあばら骨ワールド」だ。古生物研究家の川崎悟司氏の著書「カメの甲羅はあばら骨」とのコラボゾーンとなる。

骨つながりでコラボしたというが、このゾーンでは生き物の骨格を人間に照らし合わせるとどうなるのかがイラストと生体展示を通じて紹介されている。

一例を見てみよう。

タイトルにもなっているカメの骨格は、人間の臓器を守るように囲んでいるあばら骨が変形したものであり、人間になぞらえると以下の写真の説明パネルのようになる。

  • イラスト

    もしも亀の骨格のまま人間だったら…

  • カメ

    実際のカメ

このほか、ウサギ、カエル、トカゲなどの生体と、それを人間に置き換えた場合のイラスト、双方が並んで展示されている。

特別展を見終わったら、透明標本の美しさを自宅でも味わえる透明標本グッズや「カメの甲羅はあばら骨」とのコラボグッズなどのオリジナルグッズも楽しむことができる。

  • オリジナルグッズや書籍が並ぶ

    オリジナルグッズや書籍などが並ぶ

なお、スケ・ボーン展の詳細は以下のとおり。

  • 開催期間:2021年7月16日~2022年1月30日
  • 開催時間:2021年7月16日~11月7日の間は10:00~20:00 以降の営業時間はWEBサイトで告知
     ※9月8日~9月9日は10:00~18:00 ※11月8日~10日は展示入れ替えのため休館
  • 開催場所:東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル 屋上 特別展会場
  • 料金:水族館本館ほか対象施設・イベントをご利用の方、年間パスポートをお持ちの方は400円(※対象施設・イベント:SKY CIRCUS サンシャイン60展望台/コニカミノルタプラネタリウム満天 in Sunshine City/NAMJATOWN/古代オリエント博物館 ほか)
    「スケ・ボーン展」のみの入場は800円
  • 本館来場には日時指定チケットが必要だが、特別展のみの場合は予約は不要
  • 新型コロナウイルス感染症の状況により、営業時間などの変更がある可能性がある。事前に公式サイトの確認を推奨