富士通ゼネラルとエアロシールドは7月15日、オンラインで今春から富士通ゼネラルのグループ会社となったエアロシールドによる空気やエアロゾルに対する感染症対策と、紫外線による空気環境対策について説明会を開催した。
感染経路別の対策が効果的で効率的
説明会に出席した、東北医科薬科大学病院 感染制御部 部長の遠藤史郎氏は「新型コロナウイルスの代表的な感染経路は、接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染の3つとなる。接触感染は、ウイルスに触れた手を目や鼻などの粘膜に触れると感染し、飛沫感染は感染者が咳やくしゃみをした際に1~2メートル以内で飛沫を浴びることで感染する。そして、エアロゾル感染は飛沫の中の一部が1~2メートルで落ちることなく、しばらく空気中に漂っているエアロゾルを吸うことで感染する。感染対策としては、感染経路別に対策を行うことが効率的、かつ効果的だ」と説明する。
これまでのところ、接触感染や飛沫感染についてはアルコール消毒やマスク着用、ソーシャルディスタンスの確保などで感染予防の対策が講じられている。
一方で、エアロゾル感染は漏れ出た飛沫が空気中に漂わない環境づくりがポイントになることか、常に空気の流れを作ることが重要だが、各施設や家庭における換気の可視化は難しい状況となっている。
そのような状況に対して、UVC(Germicidal Ultraviolet Light:深紫外線)により、10ACH(1時間あたり10回以上の換気回数)に匹敵する量の空気中の活性ウイルスを減らすことができるという。
遠藤氏は「人間の体の周りには上昇気流が生じており、ある一定の高さにUVCを照射させる機械を置くことで上昇気流に乗ったウイルスが部屋の上部で殺菌される」と話す。
広い照射範囲と自然対流を利用した空気循環を行う室上部水平照射式
こうしたエアロゾル感染対策に向けて、エアロシールドでは紫外線照射装置「エアロシールド」を提供している。
エアロシールド 代表取締役の木原寿彦氏は「紫外線にもUVA、UVB、深紫外線のUVCとあるが、UVCを照射することで細菌やウイルスの遺伝子(DNA、RNA)を破壊することで不活化することを可能とし、耐性菌はできない」と強調する。
紫外線照射は室上部水平照射式(Upper Room UVGI)と対物照射式、吸気・排気式、インダクト式の4種類がある。
同社では空中伝播に対して有効な手立てとなり、友人空間で使用可能で無音などのメリットを持つ室上部照射方式を採用した装置を開発・提供している。
同社の紫外線照射装置は室内の高さ2.1メートル以上に紫外線を水平照射する。循環型の場合、吸排気で危機を通過する空気のみを紫外線で殺菌するため、照射型と比較して部分的な空間にしか作用できないが、同社製品の場合、広い照射範囲と自然対流を利用した空気循環により、空間全体に作用できることが強みだという。
現状では、医療施設(病院・診療所・薬局)や介護・福祉施設、幼稚園・保育園、オフィスなどで採用されている。
富士通ゼネラル 取締役経営執行役専務の長谷川忠氏は「安全な室内環境を提供していきたいと考えている。そのため、エアロシールドが社会インフラの一部となるよう両社で協力していく」と述べていた。