Pythonエンジニア育成推進協会は7月16日、「PythonZen & PEP 8 検定試験」を今年10月より無償で実施すると発表した。同試験は、Pythonの設計について記述されたイディオム集「PythonZen(The Zen of Python)」とPython のコーディング規約「PEP 8」の基本知識を問うもの。

Pythonを使う人たちの間で「Pythonic」(プログラミングフィロソフィーに関して幅広い意味を含むことば)という造語が使われているが、同協会はPythonic」の理解促進を目標のひとつに掲げている。

同協会の代表理事を務める吉政忠志氏は、同試験を実施するに至った背景について、以下のようにと語っている。

「PythonはAI(人工知能)、機械学習、ビッグデータ、ネットワークインフラ(自動運用など)で中心的に利用されているが、各分野の成長が著しく、Pythonの求人数は年間1.5倍前後で増えている。これに伴い、Pythonの関連書籍やプログラミングスクールが増える一方、Pythonを知らない人が書いている書籍やPythonZenやPEP 8を知らない講師が、不適切なPython文法を教えてしまうケースが散見される。こうした状況が続くと、不適切なPython文法を書いてしまうPythonエンジニアが増える可能性があることから、PythonZen & PEP 8 検定試験を無償で提供することにした」

  • Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事 吉政忠志氏

同試験は、インターネットとWebブラウザがあればだれでも受験できる「WBT」形式で行われ、合格ラインは正答率70%。合格すると認定証が付与される。

試験問題を監修するのは、同協会の顧問理事を務める寺田学氏だ。寺田氏はPythonを使ったシステム構築・コンサルティングを行う、CMSコミュニケーションズの代表であるとともに、Pythonエンジニアとしても活躍している。

  • Pythonエンジニア育成推進協会 顧問理事 寺田学氏

寺田氏は、PythonZenについて、「Pythonの実装にも公式ドキュメントにも取り入れられており、古くからPythonに関わっている開発者も認めている文章。PythonZenは知らなくても、Pythonのコードは書けるが、『Pythonicらしさ』を議論する際の根拠にもなっている」と語る。ちなみに、PythonZenはインタプリタで、 import this と実行すると英文で内容が表示される。

また、寺田氏はPEP 8に関する試験問題を1問紹介してくれた。さて、以下の問題の正解はどれだろうか?

  • 「PythonZen & PEP 8 検定試験」の例題

正解は2番の「変数の名前は mixedCase 方式で書く」である。他のプログラミング言語ではmixedCaseを使うことがあるが、PEP 8ではmixedCaseを使わないとされているそうだ。寺田氏によると、mixedCase方式で変数が書かれているPython関連の書籍も見かけるとのことだ。PythonZen & PEP 8を知っていると、Pythonの関連書籍やプログラミングスクールのPythonicらしさを見分けることが可能になるかもしれない。