パナソニックと和歌山県橋本市は7月15日、同市が抱えるごみ処理にまつわる課題の解決に向け連携協定を結んだと発表した。両者は共同で高齢化社会に対応した廃棄物処理システム構築の実証実験を開始する。
同実証実験は、無線でインターネットにつながる「スマートごみ箱」を新たに開発し、同市在住の高齢者世帯に設置して行う。ごみ箱にたまったごみの量を内蔵センサーで検知してデータ化し、クラウド上に蓄積したデータを活用する。
同実証実験では、高齢者のごみ出し支援の効率化に関する課題や効果の検証、プライバシーに配慮した見守りサービスの検討を行う。また、ごみ収集頻度の削減量把握ならびにごみ処理費用とCO2放出量の削減効果も検証する。なお、「スマートごみ箱」には、パナソニック独自のクリーンテクノロジー「ナノイー X」発生装置も取り付ける予定という。
日本の一般ごみの総排出量は4274万トン(東京ドーム約115杯分)で、平成24年度以降は微減傾向にある。しかし、ごみ処理にかかる年間費用は約2兆円と増加しており、地方公共団体の大きな負担になっている。加えて、高齢者のみの世帯が増加するにつれて、家庭からのごみ出しに課題を抱える事例も増加しているとのことだ。
こうした現状を受け、同市では15年以上前から「生ごみ堆肥化・減量化運動」を推進し、ごみの減量に取り組むことでごみ処理にかかる経費を抑えるとともに、高齢者や障がい者、紙おむつ利用世帯を対象とした「ごみの福祉収集」を実施している。
両社は同協定を通じて、「住み続けられるまちづくり」を目指し取り組みを進める方針だ。