半導体市場動向調査会社である台湾TrendForceによると、世界の自動車市場で電化のペースが加速し、世界中のさまざまな政府が消費者向けEVの購入を奨励する補助金政策を実施するにつれて、新エネルギー車(NEV:電気自動車とプラグインハイブリッド自動車の両方を含む)の販売も増加し続けている。最新の調査によると、2021年のNEVの販売台数は前年比49%増の435万台に達すると予測されている。

TrendForceは、電動化、スマート化、および自動化が、自動車業界で進行中の変革の3つの重要な決定要因であると指摘している。これらの3つの決定要因に導かれて、自動車メーカーの戦略、ビジネスモデル、および競争が変化するだけでなく、自動車のサプライチェーンも変化および拡大している。現在、上流のコンポーネントサプライヤーと下流の自動車メーカーはこの新しいパラダイムに直面している。

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    NEVの販売額の推移と2021年の予測 (出所:TrendForce)

NEV市場の急成長に期待し新興メーカーが市場に参入

NEV市場における従来型自動車メーカーと新興自動車メーカー間の競争が徐々に激化する中、従来型自動車メーカーは、既存のICE車両ではなく、純粋な電気プラットフォームに基づく電気自動車のリリースを開始した。ただし、主流の自動車メーカーの大多数にとって、NEVの売上高は総売上高の10%未満に過ぎないため、これらの自動車メーカーは、NEVモデルのラインナップと販売台数の拡大を最優先事項としている。一方、新興自動車メーカーは生産能力の拡大に注力しており、テスラや中国ブランド(NIO、XPengなど)がそれぞれの生産能力拡大計画を立てている。

NEVが自動車市場に占める割合は全体の5%にすぎないため、市場は依然として高い成長の可能性を秘めているだけでなく、その成長性に期待し、主に家電製品メーカーやHuawei、XiaomiやOPPOなどのIoT/スマートフォンベンダーなども新規参入プレーヤーとして名を連ねるようになっており、日本のソニーも、自動運転電気自動車「VISION-S」を試作公開している。

ただし、車両全体の開発と製造の能力が不足しているため、これらの企業は代わりに既存の自動車メーカーを買収するか、ODMサービスを利用しており、今後、自動車のODMサービスが増加する可能性があるという。また、自動車メーカーとODMも、合弁事業を通じて工場を建設し、技術を共有する形でNEVモデルの共同開発を進めるとみられている。

なお、こうした動きを受けて、車載半導体メーカーのパートナーも従来の自動車メーカーやティア1だけではなくなってきているという。