2021年6月28日(米国時間)、世界のスーパーコンピューターに関するランキング「TOP500」の2021年6月版が「June 2021|TOP500」で発表され、理化学研究所や富士通が開発した日本の「富岳」が首位を獲得した。富岳が首位獲得は、2020年6月、同11月に続いて3度目となる。トップ10の順位変動はほとんどなく、唯一、米国のスーパーコンピュータ「Perlmutter」が5位となって新規にトップ10入りを果たした。

1位を獲得した富岳のHPLベンチマークスコアは前回と同様の442Pflops/s(1秒間あたり44.2京回)で、これは2位を取った米国オークリッジ国立研究所の「Summit」(148.6Pflops/s)の約3倍となっている。3位、4位は前回と変わらず米国のローレンスリバモア国立研究による「Sierra」、中国の並列コンピュータ工学技術研究センターによる「Sunway TaihuLight(神威・太湖之光)」がそれぞれ獲得している。

5位は新たにトップ10入りを果たした「Perlmutter」で、64.6Pflop/sを達成し、前回5位だった米国Nvidiaの「Selene」(63.5PFlops/s)をわずかに上回った。Perlmutterが5位に入ったことで、前回5位以下だったトップ10のコンピューターは順位を1つずつ落とす結果となっている。トップ10の全リストは以下の通り。

  • TOP500 2021年6月期の上位10位のリスト

    TOP500 2021年6月期の上位10位のリスト

国別の統計では、中国が186台と前回に引き続いて1位を獲得しているが、前回の212台からは大幅に台数を減らしている。とはいえ、2位の米国は123台であり、依然として大きく水を開けられていることに変わりはない。日本はそれに続く3位で、34台がランクインしている。

そのほかに注目すべき点としては、AMDプロセッサの利用が大幅に増加していることが挙げられている。今回新たにTOP500入りを果たしたシステムはわずか58台だが、そのうちの約半数が同社の「EPYC」プロセッサを採用している。トップ10では、前述のPerlmutterやSelene、ドイツのJUWELS Booster ModuleがEPYCを搭載している。

なお日本の富岳は、TOP500に関連する、産業利用などで用いられる共役勾配法の処理速度に関するランキング「HPCG」と、人工知能(AI)の処理に関するランキング「HPL-AI」でも3期連続の首位を獲得している。理化学研究所によると、大規模グラフ解析に関するランキング「Graph500」でも首位を獲得したとことだ。

そのほか、電力効率の高いスーパーコンピューターのランキングである「Green500」では、日本のPreferred Networks(PFN)が開発する「MN-3」が2期ぶりに首位を獲得している。