レノボ・エンタープライズ・ソリューションズは6月29日、ヘルスケア分野に対する同社の戦略とソリューションを説明した。
この分野を担当するエンタープライズ営業統括本部 統括本部長 鷲崎達也氏によると、病院の医療情報システムの中心は電子カルテで、それにさまざまな部門システムがぶら下がっているという。ただ、電子カルテと部門システムは、ベンダーに依存した形で導入され、運用基盤のサイロ化で、複雑なサポートを強いられている点が課題となっているという。
同氏によれば、医療情報システムは病床数の数による規模で課題は異なるが、共通するのは、
①医療情報システム運用基盤のサイロ化
→複数システムを運用できるスキルを持ったの人材不足
→物理サーバーの乱立
②命を預かる上でのデータ移行の難しさからくるコスト上昇
→データ保証の観点から、簡単に運用ベンダーを変更できない
③システムの老朽化による障害多発
→導入年度がバラバラで、保守期間の長い物理サーバ乱立による大規模なシステム、経年劣化によるトラブルが頻発、管理・運用も複雑
の3つだという。
これらの課題に対して同社は次のような解決策を提供しているという。
運用基盤のサイロ化に対しては、システムの仮想化し、システム基盤を統合するほか、HCI採用による運用負担を軽減(一人ですべてのシステムを見えるようにする)。
データ移行に関しては、マルチベンダーでのデータ移行サービス(自走支援サービス)を提供。システムの老朽化に対しては、仮想化、HCI採用による拡張性を容易にする対策を行っているという。
仮想化は、中~大規模なものはNUTANIX、小~中規模ではHyper-VのほかVMwareを採用しているという。
また、専任の情報システム人員を保持していない中・小規模病院や薬局に向けては、クリニックモデルというパッケージ製品を提供。松、竹、梅の3パターンを用意し、UPS、バックアップをオプションにして、サブスクリプションモデルで提供しているという。
さらに同社は地域医療連携についても支援しているという。
鷲崎氏によれば、地域医療連携の利用率は3%前後で、課題としてはデータを大手病院に吸い上げられる不安、個人認証方法が確立されていない(個人情報保護法の壁(紙による書類にサインが必要))、法制度の整備が遅れている(どこまでのデータを開示できるか)、外部接続(クラウド接続含め)に向けた基盤整備、セキュリティ対策の遅れがあるという。
これに対して同社は、東京・秋葉原にLenovo ハイブリッドクラウド検証センターを設置し、中小の病院むけに検証環境を提供している。
代表取締役社長 ジョン・ロボトム氏は、ヘルスケア領域について「日本の高齢化社会が進んでいる中では、医療は必要で非常に重要な分野だ。この分野のデジタルトランスフォーメーションに対して、弊社もドライブできるようなテクノロジー、ソリューションにフォーカスし、良いソリューションを出していきたい。ヘルスケアでは病院のデータが重要なので、それをどう活かしていくかがポイントになる」と語った。