IDC Japanが6月29日に発表した市場予測によると、2020年の国内アナリティクス/AI(人工知能)プラットフォーム市場は、ベンダー売上額ベースで2019年と比べ12.1%増の1626億7500万円になったことが分かった。
同社は同市場を、アナリティクス/ビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェア市場とAIプラットフォーム市場で構成するものと定義している。2020年の同市場に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は、阻害要因よりも促進要因が大きく堅調に成長したという。
阻害要因としてはCOVID-19の影響での企業業績の低下によるIT投資の予算執行延期などがあったが、デジタルシフトした消費者/ビジネスバイヤーの購買分析への対応や企業業績の分析、業務の自動化要求の増加、高精度な分析/認知のためのAI利用の進行などが、促進要因になったとのことだ。
2020年の国内アナリティクス/BIソフトウェア市場は堅調に成長し、前年比8.8%増、市場規模1313億2500万円になったと同社は推定する。同市場は、企業業績や市場状況/販売状況などの分析を行うBI要求の拡大により、全市場の50%以上を占めるエンドユーザークエリー/レポーティング/分析ツール市場が前年比9.6%増と好調であり、市場全体の成長を牽引した。
2021年以降は、BI市場の堅調な成長やAIを使用する予測分析市場の成長によって、2021年から2025年にかけて年間平均成長率(CAGR)7.1%で拡大し、2025年の市場規模は1846億7600万円になると同社は予測する。
2020年の国内AIプラットフォーム市場は、前年比28.2%の313億5000万円になったと同社は推定する。同市場は、2020年にコロナ禍によって不確実性がよりいっそう高まったビジネス環境においてユーザー企業の危機意識が高まり、AIが企業の従業員の意思決定の自動化を支援するインサイトを提供するツールとして、AIの成熟度に応じた利用方法が増加したと同社は見ている。
また、AIを組み込んだアプリケーションを独自に構築したり、AI機能(音声/画像認識など)をアプリケーションからAPI経由で呼び出したりする利用が進んだことが、同市場の成長の要因になったという。
2021年以降の同市場は、企業変革を急務とするユーザー企業の重点的投資領域として継続的に成長し、2021年から2025年にかけてCAGR 20.8%で推移し、2025年には804億8100万円になると同社は予測する。
同社ソフトウェア&セキュリティ/ITスペンディング グループディレクターの眞鍋敬氏は、「国内アナリティクス/AIプラットフォーム市場が今後も成長を継続するためにITサプライヤーは、ユーザー企業へのデータプラットフォーム構築支援、データ分析へのAI活用推進が重要である」と述べている。