京セラは6月24日、セラミックナイフを中心とするキッチン用品の新ブランド「cocochical(ココチカル)」を立ち上げたことを明らかにした。
同ブランドのコンセプトは、「セラミックスで調理に心地よさを」で、コロナ禍にあって、家にいる時間が増える中、料理を大切な時間として、料理をもっと上質なものにしたい、楽しいものにしたいという人をターゲットとしたという。また、ブランドステートメントは「このここちよさが、セラミックス」としている。
ハンドルとブレードの一体感のある形状を採用
心地よく、ということを念頭にデザインにも注力。プロダクトデザイナーの桑野陽平氏の協力のもと、握り方の調査から、1つの握り方に固定しないようなシンプルなデザインにする方向性で検討を進め、日本の大具道具である木づちを参考に、これからのスタンダードになるような包丁として、ハンドルとブレードを一体感のあるデザインが採用されたという。桑野氏は、今回のデザインについて、「段差のないデザインにすることで見た目の美しさのみならず、洗いやすさといったメンテナンス性や、握りやすさといった機能性なども追及した」と説明する。
また、パッケージのデザインも、一般的な包丁で見られる重みや重厚感のあるようなものではなく、ライトでスマートな印象を追求し、角にR形状を採用するなど、料理を心地よく楽しんでもらいたいという気持ちを贈れるパッケージにしたという。
10年以上かけて開発された新素材で硬度を向上
cocochicalでは、形状の追求に加え、素材についても従来のセラミックナイフで用いられてきたジルコニアZ206ではなく、同社が10年以上の年月をかけて研究開発を進めてきた、硬度を向上させた新素材「Z212」を採用。従来のセラミックナイフと比べて擦れたときに削れにくくなったことから、切れ味が従来品比で2倍以上に長持ちさせることが可能になったという。
同社としても素材の刷新は17年ぶりとしている。すでにZ212を採用したセラミックナイフ自体は、一部の海外で黒色モデルが展開されていたが、今回の新ブランド立ち上げにあたって、新たに白色を開発したというが、その求める色を出せる材料を開発するのに時間がかかったという。
料理を楽しんでもらうためのアフターサービスも拡充
京セラのセラミックナイフは、刃付けの最終仕上げは熟練工が1本1本手作業で確認しながら行ってきた。そうした経緯もあり、これまでも長く使ってもらうことを目的に、セラミックナイフの細かい欠け(目安は先端部10mm未満、刃部3mm未満)に対する研ぎ直しサービスを提供してきたが、cocochicalでは、新たに修理サービスも提供する。これは、1本につき1回限りではあるが、刃が研ぎ直しサービスで対応できないほど大きく欠けてしまったり、ハンドルに亀裂や割れが生じた場合、無料で修理してくれるというもの。ユーザーに長く活用してもらいたいという思いから、提供を決定したという。
なお、cocochicalブランドとしては第一弾として、牛刀(18cm)、三徳ナイフ(16cm)、三徳ナイフ(14cm)、ペティナイフ(13cm)、スライスナイフ(ギザ刃、12.5cm)の5製品がホワイト/ブラック各色ごとに提供される。すでにMakuakeにて先行販売が開始されているほか、2021年秋からは店頭での販売も開始される予定だという。
なお、同社ではcocochicalをキッチン用品ブランドとして展開していきたい意向を示しており、まずはセラミックナイフからはじめて、スライサーなどの調理小物などにも適用範囲を拡大していきたいとしている(従来のセラミックナイフも併売する予定のほか、同社のフライパンなどのブランドとして「セラブリッド」があるが、こちらはアルミ基材にセラミック加工を施したものであり、現時点では系統が異なるため残していく方向だとしている)。