鹿島建設とリコーは6月24日、大河津分水路新第二床固改築I期工事(新潟県長岡市)において、リコーが開発した、VR空間に複数人が接続可能な「リコーバーチャルワークプレイス(VWP)」を導入し、現場遠隔管理に向けた新たな取り組みを開始したと発表した。
VWPはネットワークに接続されたPCとVRゴーグル、VWPアプリケーションを使って、遠隔地から多人数が同時に同じVR空間に入り、各人が自由な視点でコミュニケーションを行えるシステムである。VR空間内にBIM/CIMモデル、360°写真、3Dスキャナで計測した点群データなどを反映できるため、遠隔地からでも実際に現場で立ち会うのと同様に現場の状況を確認できる。
VR空間では自由に会話ができることに加え、3Dスキャナで計測した構造物の点群計測や電子書類の確認、レーザーポインタを用いた指示や音声入力によるメモも可能。
また、スタンプ機能や書類へのサインにも対応しており、遠隔臨場での立会いも可能となる。現場カメラのライブ配信映像をVR空間内で共有する機能も実装され、複数の遠隔地から実際の現場映像を見ながら打ち合わせが可能であるという。
従来の建設現場では、複数の関係者が同じ場所に集い、現物を確認してコミュニケーションを取りながら意思決定を行う場面が数多く発生するが、近年はIT機器の進展とともに、生産性の向上や感染対策などを目的とした遠隔臨場やリモートワークなど、新しい働き方が求められているとのこと。
そうした状況の中で、関係者全員がさまざまな資料を用いて建設プロセスやイメージを共有することはより一層難しくなり、合意形成に時間を要する場合もあったという。同システムの導入によってVRと現実空間が融合され、遠隔地からでも実際に建設現場にいるような感覚で、情報を共有しながらコミュニケーションや意思決定を行えるようになったとのこと。
今後は360°カメラのライブ配信映像を組み込むなど、さらなるシステムの高度化や現場管理ツールとの連携を進め、デジタル時代に相応しい新たな現場管理と働き方を発信していくとしている。