IDC Japanは6月22日、国内ハイパーコンバージドシステムの市場予測を発表した。これによると国内ハイパーコンバージドシステム市場の2020年~2025年における支出額の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を8.7%、2025年の同市場の支出額を783億3,000万円と予測している。
2020年の国内ハイパーコンバージドシステム市場の支出額は515億2,100万円で、前年比14.3%増となった。新型コロナウイルの影響を受けて一部の案件が先送りや中止となり、2020年上半期に新規案件の提案活動に制約があったことから、2020年下半期には需要減少の影響が表れたという。
ただ、サーバー仮想化向けでは金融や官公庁などでの予算化された案件や、通信/メディアや情報サービスでの通信/ITサービス基盤向けの案件が堅調だったという。
また、Virtual Desktop Infrastructure(VDI)向けでは、金融や公共/公益などで大型案件があったことに加え、COVID-19対応として短期間でVDIを導入する案件も見られたことから、ハイパーコンバージドシステム全体の需要を下支えし、前年同期比成長率は2桁の水準を継続したという。
同社は国内ハイパーコンバージドシステム市場を、ITインフラストラクチャの運用/管理の効率化、ビジネスニーズに対応する俊敏性や柔軟性の向上、導入の迅速性や容易さ、スモールスタートと柔軟な拡張性の実現などを背景に、今後も成長を継続すると予測。短期的には仮想化環境の課題を解決するITインフラストラクチャとしての需要を中心に普及が進む見込みで、中長期的にはデジタルトランスフォーメーション(DX)によって創出される次世代ワークロードへの対応、既存ITインフラストラクチャの効率化、さらにエッジ、オンプレミスITインフラストラクチャ、そして複数のパブリッククラウドを統合的に管理するハイブリッドクラウドの実現を目的にハイパーコンバージドシステムの普及が拡大するとみている。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャのシニアマーケットアナリストである宝出幸久氏は「国内ハイパーコンバージドシステム市場はCOVID-19の影響を受けたものの2020年も二桁成長を継続した。しかしながら、COVID-19の影響を受け、今後は従業員規模別、産業分野別、地域別、ワークロード別におけるセグメントごとの成長性の差が顕著となるであろう」と分析している。