ETSホールディングス(ETS)とサンリット・シードリングス(サンリット)は6月16日、太陽光発電所の敷地内における「生態系リデザイン」事業の開始について会見を行った。同事業の目的は、発電所敷地内の生物多様性の保全や、発電所内での農作物栽培を通じて太陽光発電の収益を向上させること。
同事業では、ETSが太陽光発電所設備の設計、施工、管理運営を行い、サンリットが太陽光発電所敷地の土壌解析、発電効率を維持した状態での未来の生態系の管理方法や、デザインの評価を行う。
同事業によって、人が適切に利用、管理せずに希少生物が生息しなくなり、緑の砂漠と化した土地を希少な生物の生息地に転換させることができるという。さらに、発電所敷地の土壌に適した植物で地表を覆うことで、降雨時の土砂の流出を抑え、保水力を高めることができるため、土砂災害の予防にもつながるとのこと。
太陽光発電の建設候補地を調査し、土壌中の菌を資源化するために試料を採取することから、同事業のサービスが提供される。建設候補地の生態系を多角的に評価するとともに、候補地の微生物叢や生態系を評価する。その後、採取した試料をサンリットのノウハウに基づいて解析し、候補地での生態系づくりに活用できる微生物を用いて、土づくりや植物の育成促進を行うとのこと。
両社は、微生物のDNA解析や生態系調査の結果に基づいて、発電所の工事から稼働中、発電所の稼働終了後にわたり、発電所敷地の生態系を評価しながら、発電事業の終了後を見据えた生態系の構築と管理を行うとしている。
両社は今後の展望として、再生エネルギー電源を求める事業者や、荒廃した生態系を抱える地域自治体を対象にサービスの提供を行っていくという。例として、森林経営管理制度下での森林管理の支援や、未利用な土地および管理が負担な生態系の価値づくりを展開していくとした。
ETSの代表取締役社長である加藤慎章氏は会見の中で、「脱炭素は喫緊の課題であり、地球の環境保護のためにも、すぐに取り組んでいかなければいけない。加えて、十数年後の資産としての環境づくりも両立していきたい」とコメントした。