日本テラデータは6月16日、CX(カスタマーエクスペリエンス)ビジネスに関するグローバル調査の結果と、CX支援事業の最新事例について、記者会見を行った。冒頭、代表取締役社長の髙橋倫二氏は「2021年度のグローバルの第1四半期決算は、パブリッククラウドの年間経常収益が前年度比で176%増加し、経常収支も同年前月比で20%増加するなど、好スタートとなった。日本においても引き続き業績は好調である」と語った。

  • 日本テラデータ 代表取締役社長 髙橋倫二氏

高橋氏によると、こうした成長を後押ししているのは、同社の主力であるクラウドデータ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」とのこと。同プラットフォームはAWS、Microsft Azure、Google cloudなどの主要クラウドサービスに対応しており、データ分析を行う。また、コンサルティングサービスも同様に、同社の成長要因となっているという。

  • クラウドデータ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」

同社の提供するコンサルティングサービスは、データの活用戦略立案から運用までを支援している。CX向上、設備投資の最適化、ファイナンストランスフォーメーション、オペレーション高度化、リスク管理/軽減、プロダクトイノベーション/マネジメントの、データ活用によって成果を得られる6分野を特定し、1000を超えるユースケースを基にサービスを提供している。

  • テラデータの提供するコンサルティングサービス

続いて、ビジネスコンサルティング事業部マネージャー・ビジネス・コンサルタントの小野尚人氏が、CX向上におけるデータ活用のポイントについて説明した。消費者の大多数が自分自身のためにパーソナライズされたサービスを求めており、そのためにはもっと多くのお金を払っても良いと考えているとのこと。

  • 日本テラデータビジネスコンサルティング事業部マネージャー・ビジネス・コンサルタント小野尚人氏

同社を含む3社がグローバルで実施したCXに関する調査結果より、CX意思決定者の85%がCX向上のためにはデジタルエクスペリエンスが最も効果的であると回答したことがわかった。同様に、リアルタイムなCXの提供が効果的であると回答した割合は66%、インパクトがあるCXが効果的であると回答した割合は65%であった。これらの結果は、日本の回答者ではさらに高い割合だったという。

小野氏は調査結果より、CXの向上を阻む課題について、「組織・システムを横断した顧客データを見ることができない」「データから有用なインサイトを得ることができない」「せっかく獲得したインサイトをアクションに移せない」の3つを挙げた。回答企業の82%が、より多くの顧客データを取得しようとしている一方で、61%が顧客データを取得して理解することは困難だと回答している。

上記の3点の課題に対して小野氏は、持続的に顧客エンゲージメントを高める次世代のパーソナライゼーションを実現する解決策として、「組織・システムを横断し顧客データを統合」「データから有用なインサイトの獲得」「獲得したインサイトをアクションに変換」を提案した。社内の誰もがデータを活用できるよう、GUIやノーコードを活用して高度な分析を実行できる環境を構築し、得られたインサイトを顧客コミュニケーションに連携することが重要だという。

小野氏は「パーソナライズされたサービスを提供するためには、個人情報規制への対応力が求められる。データの適切な管理はすべての企業に必須な条件になると考えているが、私どもは標準化されたデータモデルを提供しているため、わかりやすく管理のしやすいシステム資産を実現できる」とコメントした。

セールステクノロジー事業部デジタルマーケティング担当マネージャー三宅延幸氏は「テラデータの新たなCX向上への取り組み」をテーマに、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)と共同で発表したプレスリリースについて説明した。

  • 日本テラデータセールステクノロジー事業部デジタルマーケティング担当マネージャー三宅延幸氏

同社は、過去の取引情報からカスタマーエクスペリエンスを最適化し、ビジネスゴールの達成を支援するソフトウェアである「Vantage Customer Experience(Vantage CX)」を提供している。両社は5月に、Vantage CXとDACの提供する「AudienceOne」を連携すると発表していた。

  • Vantage CXを活用したデータ分析の例

DACの提供する「AudienceOne」は1億を超えるデバイスのデータを保有しており、それらのデータの分析から高精度な3rdパーティデータを生成するデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)である。「Vantage CX」と「AudienceOne」の連携により、「Vantage CX」にデータがない新規の顧客について、その属性やライフスタイル、興味関心などの情報を「AudienceOne」が提供することで、適切な顧客とのコミュニケーションが可能になるという。

両社はサービスの連携により、消費者に関する理解度の向上ろマーケティングの高度化を実現し、企業の新規顧客の獲得や、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)の向上を狙っているとのこと。消費者ひとりひとりの「いまの状況」をとらえることで、消費者に寄り添ったコミュニケーションが可能になるとしている。

  • 3rdパーティデータと1stパーティデータを組み合わせることで、一貫した消費者コミュニケーションが狙えるという

DACのパートナービジネス本部シニアマネージャ岩井崇明氏は両社の提携について「データ規制などで1stパーティデータ活用の重要度が増していく中で、Teradata Vantageの顧客データを3rdパーティデータでリッチ化することで、顧客像の可視化において最も価値を発揮するだろう。AudienceOneが提供する、外部データを用いた新たな1to1の施策が可能になると思う」とコメントした。

  • DACパートナービジネス本部シニアマネージャ岩井崇明氏