みずほフィナンシャルグループとみずほ銀行は6月15日、同行で発生したシステム障害に関する調査報告書を発表した。同行では、今年2月28日、3月3日、3月7日、3月12日に4回のシステム障害が発生し、3月17日付けで設置されたシステム障害特別調査委員会が調査を行っていた。
今回障害が発生したシステム「MINORI」は、みずほ銀行およびみずほ信託銀行における勘定系基幹システムで、2011年に発生した大規模なシステム障害を受け、勘定系システムの完全一元化を実現するために開発され、2019年7月に旧システムからの移行を完了している。
今回、MINORIに発生したシステム障害により、顧客が取引などを行おうとしたみずほ銀行のATM 内に通帳・カードが取り込まれて戻らないという事象が発生した。
報告書では、2月に発生した障害の要因について、MINORIの構造、仕組み自体に欠陥があったのではなく、これを運用する人為的側面にあったと指摘している。要因としては、「取消情報管理テーブルの INDEX FILE のメモリ容量超過リスクに関する認識不足」「組織全般に通帳・カードの取込みが顧客に与える不便や不利益に対する想像力や感度の不足」が挙げられている。
システムの復旧が遅延した主要な原因としは、「ATM 処理区画閉塞の確認が大幅に遅れたこと」「復旧作業の過程で、システムエラー発生により自動的に作動する『取引サービス禁止機能』の作動条件を緩和する措置を講じ、それが結果として、重大エラーを多発させて、ATM 処理区画の閉塞を加速させたこと」「エラーの起点となった定期性預金システムの切離しによる他の領域への影響遮断措置が遅れたこと」などがあるという。
顧客対応部門においても、システム復旧を待つという受動的な姿勢が見受けられ、顧客が現に受けている不便、不利益を迅速に解消するような組織的な動きに欠けていたと指摘している。
同グループおよび同行は障害の再発防止に向けて、「システム」「顧客対応・危機管理」、その背景にある「人と組織の持続的強化」において、具体的な対策を実施するとしている。