ガートナー ジャパンは6月14日、日本企業におけるクラウド・コンピューティングに関する2021年の調査結果を発表した。
この調査は、日本の企業や組織がITに関して抱えるさまざまなニーズや課題を分析するために毎年行われているもの。2021年4月に実施した調査では、日本におけるクラウド・コンピューティングの利用率の平均は、2020年調査から4ポイント増の22%となった。
クラウド・サービス別に見ると、SaaSが2020年調査から8ポイント増の39%であったという。この背景には、COVID-19の影響によるWeb会議ソリューションの利用拡大などがあるとしている。
外部クラウドへの投資意向についてはこれから1~2年かけて外部クラウドの利用を増やすとの回答が2021年調査では過去最高の55%であった。あわせてオンプレミスへの投資意欲も拡大したという。
企業や組織がクラウドのスキルを身に付けるためにどの程度投資しているかについても尋ねたところ、2021年調査の「クラウドのスキルを重要と認識しており、積極投資している」という回答は、2020年調査から9ポイント増の34%に達し、現場でクラウドのスキルを高めようとする動きは年々強まっている。
また、クラウドに対する上司の理解度については、「理解しておらず困っている」という回答が4割近くにのぼり、「理解しているとは言えない」という回答と合わせると、7割の企業では、マネジメント層の理解度の問題が生じている実態が浮き彫りになった。
アナリストでディスティングイッシュト バイス プレジデントの亦賀 忠明氏は、次のように述べている。「時代が変わったと認識し、すべての管理職がクラウドのスキルを身に付けるための時間と機会をつくることがI&Oリーダーには求められます。これは、社長やCIOなどの役員クラスの管理職についても当てはまります。クラウドが当たり前になる時代においては、『クラウドは自分には分からない』という状態ではその役割が務まりません。I&Oリーダーは、クラウドを時代が要請する新たなリテラシーと捉え、『本物のクラウド』のスキルを獲得し、クラウドを自分で運転し、さらには駆使できるようにすべく、行動を加速させる必要があります」