JA全農と東日本電信電話(NTT東日本)は6月11日、NTT中央研修センタ内に「遠隔栽培指導センタ(通称:コックピット)」を開設し、施設園芸生産者に対するリアルタイム遠隔栽培指導の実証を開始すると発表した。同実証は、スマートデバイスを活用して、生産現場とリアルタイムに情報共有をすることで、実訪問と近い精度で、また、コロナ禍でも安全な遠隔栽培指導を可能にし、より多くの生産者の要望に応えることを目指すもの。

  • 「遠隔栽培指導センタ(コックピット)」イメージ

全農の高度施設園芸推進室は、平成28年より施設園芸生産者に対し、収量の向上やそれに伴う経営の改善を目的として、現地訪問と電子メールやSNSでの連絡を組み合わせた栽培指導を実施している。しかし同社は、実際の作物状態や圃場の状況などを考慮した、リアルタイムな情報共有ができない課題を抱えていたという。

一方、NTT東日本は一次産業の課題解決に取り組む中で、「担い手不足への対処」、「新規就農者支援」、「データを活用した儲かる農業の実現」への期待が高まっていたことから、ICT機器を活用し、限られた栽培技術者の活躍の場を広げる遠隔栽培指導の取り組みについて、検討を進めていたとのこと。

こうした背景を受けて、両社はスマートデバイスを活用し施設園芸生産者と、圃場の映像や音声、環境、生育調査データを共有する遠隔栽培指導センタの開設について合意に至った。なお、同実証は全農とNTT東日本に加え、農業ICT分野での専門性を持つNTTアグリテクノロジーとも連携して進められる。

実証の開始は令和3年秋ごろを予定しており、両社は全農グリーンリソースの施設園芸栽培コンサルサービスとしての展開を視野に、実用化も検討している。