NECソリューションイノベータは6月10日、AI(人工知能)とクラウドを使用して大学IR(Institutional Research)の事務作業における職員の効率的なデータ分析を支援する「NEC 大学IR データ分析クラウドサービス」を提供開始した。価格は年額396万円から。今後3年間で80校への導入を目指す。
新サービスでは、大学をはじめとする高等教育機関が持つ入試成績や履修状況などの教学データをAIを使用してクラウド上で分析し、「修学状況」「進路」「国家試験合否」「学習意欲」などを図表・数値情報などの視覚的な形で提供する。これにより、教育活動の質向上を目的とする、より効果的な計画の立案や意思決定の効率化を可能にし、大学IRの推進を支援するという。
なお同サービスでは、高等教育機関が持つ個々の学生の個人情報を教育機関側で匿名加工情報に加工した上で分析し、プライバシーの保護に配慮した仕組みを実現しているとのこと。
同サービスの特徴は「AIを使用した傾向分析と予測分析」「専門知識を必要としない結果表示」「施設利用状況を使用した行動描画」の3点。
傾向分析では、学内に蓄積した多様なデータから、国家試験の合否といった分析したい項目に対して影響を与える要素をAIが発見し、国家試験の合否を分ける傾向などの特定を支援する。
予測分析では、過去のデータを基に国家試験の合否モデルをAIが作成し、現在のデータから予測する将来の結果を提示するとのこと。これらの分析結果から、進路指導やカリキュラムの改訂、試験前の学生へのフォローに役立てられるとしている。
結果表示に関しては、同サービスに教学データを登録することで傾向分析と予測分析を行い、結果をわかりやすい図表で表示する。これにより、これまで専門家に依頼し、多くの人手や時間をかけていた分析作業の効率化が可能という。
行動描画については、同意を得た学生の端末から収集した大学構内の施設利用状況を個人を特定できない形に加工した上で分析し、ヒートマップを用いて特定の時間内に学生が密集していた場所を地図に描画する。
これにより混雑しやすい場所や時間の特定・予測が可能になり、学内制度・施設の改善に役立てられるとしている。また、新型コロナウイルス(COVID-19)をはじめとする感染症パンデミックへの対策としては、行動描画機能により、キャンパスなどの特定エリアにおける密となる環境の検出といった分析などが期待できるとのことだ。