日立製作所は6月10日、データ利活用に取り組む事業者に向け、個人の同意に基づくデータ流通を実現するという「個人情報管理基盤サービス」を販売開始した。価格は個別見積、提供開始時期は7月1日の予定。

  • サービスのイメージ

新サービスは、同社の独自技術によりパーソナルデータを秘匿化・匿名化して高セキュリティに管理可能という秘匿情報管理サービスである「匿名バンク」と、データの提供先や利用目的などの変更に応じて個人からの同意を動的に管理できるという各種機能を組み合わせ、クラウド上でパーソナルデータをより安全に格納・流通させる仕組みを提供する。

なお同サービスは、パーソナルデータの利用停止や消去、第三者への提供停止を請求できる要件を緩和し、本人の権利保護をより強化した、2020年6月公布の改正個人情報保護法に対応しているという。

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主な特徴として同社は、個人の動的な同意に基づきデータ流通を可能にする各種機能の提供、独自の秘匿化技術を用いた匿名バンクでより高度なセキュリティの実現、OpenAPIによるデータ連携や業務システム連携による業務効率化・DX推進の支援の3点を挙げる。

データ流通を可能にする機能に関しては、同サービスで提供する「共通ポータル」を通じて、個人がデータの提供先やデータ項目などを自ら動的に同意設定し、それを基に利用者へのデータ提供を可能とする「同意管理機能」などを提供する。個人からデータの取得や利用の同意を得ることでデータ流通の透明性を向上し、より安全なパーソナルデータの管理や多目的利用が可能になる。

セキュリティについては、同サービスの基盤として匿名バンクを利用し、取り扱いに特に配慮が必要とされるパーソナルデータを、秘匿化・匿名化してクラウド上で管理できるという。氏名や住所などの個人特定情報は、同社独自の検索可能暗号化技術により確率暗号方式に基づく乱数化によって秘匿化、その他のパーソナルデータは匿名化したデータとしてクラウド上で管理する。

暗号化および復号化の鍵は、秘匿化したデータを保管するデータセンター側では保有せず、データ保有者のみが保有しており、データセンターおよびネットワーク上で復号することは無いという。データを秘匿化したまま流通できるため、組織間での境界を意識しないセキュリティを構築できる。

匿名バンクの利用によりゼロトラスト・セキュリティを実現するデータ管理がクラウド上で行えるため、情報漏洩のリスクを抑えたより安全なパーソナルデータの利活用の環境を迅速に準備可能という。なお匿名バンクは、同社のソリューション・サービス・テクノロジーである「Lumada」のサービスの1つとのこと。業務効率化やDX推進に関しては、匿名化データをやり取りできるOpenAPIにより、アプリケーションを通じてより安全にパーソナルデータを使用したサービスを提供可能としている。

例えば、同サービスを地域で利用し、多様な企業がアプリケーションを開発することで、地域活性化や、データを利活用した新事業・新サービス創出につなげられるという。また、民間事業者や自治体の業務システムとの連携により、業務効率化やDXの推進での使用も可能とのこと。同サービスの主な機能は以下の通り。

  • 主な機能、価格、提供開始時期