ヤフーは6月8日、広告サービス品質向上のための審査実績をまとめた2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の「「広告サービス品質に関する透明性レポート」を公開した。同レポートによると、2020年度に同社の定めた基準に基づき、約1億7千万件の広告素材を非承認にしたとのこと。
「広告サービス品質に関する透明性レポート」は、広告主、広告会社、広告配信パートナー、ユーザーに対し、同社広告サービスの審査について広く周知を図る目的で2019年度から公開されており、今回で3度目となる。
同社は不適切な広告の掲載を防ぐため、Yahoo! JAPAN 広告掲載基準を定めており、虚偽誇大広告や詐欺的な広告に加え、ユーザーに不快感、不安感を与えるような広告を禁じている。掲載基準は法改正や社会情勢の変化に伴い常に見直しており、掲載基準を満たさない広告を掲載しないよう、審査スタッフとシステムを用いて24時間365日体制で確認している。
同社は大量の非承認広告を入稿する広告アカウントに対し、アカウント自体の停止措置を行っており、2020年度には5215件のアカウントを停止した。これに伴い、非承認となる広告素材を入稿する広告主が減少し、2019年度と比較して2020年度は非承認数が減少したとのこと。
さらに同社は新たな取り組みとして、2021年1月より、広告審査で重大な違反表現が認められた商品に対し、当該の表現を修正した場合でも、以降の対象商品にかかる広告掲載を断る方針を示した。加えて、掲載広告に対しユーザーからネガティブな意見が一定以上あった場合も広告を停止する取り組みを開始している。
広告審査による非承認理由の内訳によると、2020年度は最上級表示、No.1表示、薬用化粧品(医薬部外品)、化粧品の掲載基準に抵触する広告が増加していたとのこと。その背景には、2020年度の日本化粧品工業連合会が定める化粧品等適正広告ガイドラインの改定に伴う、掲載基準の変更がある。
広告主および広告会社に向け、同社は掲載基準を周知させるための学習コンテンツを提供している。特に薬機法や医療法などの解釈が難しいものについては、具体的な可否事例をまとめた資料集などが公表されている。
また、同社はインターネットユーザーに見せかけた悪質なボットを用いたインプレッションやクリックにより、広告主の広告費を不当に搾取する「アドフラウド(広告詐欺)」など、無効なトラフィックの排除も行っている。