日立グループの半導体製造装置メーカーである日立ハイテクは、米国子会社Hitachi High-Tech Americaが米Intelの開発・試作拠点のある米国オレゴン州ヒルズボロ市に、半導体エンジニアリング新拠点「Hitachi's Center of Excellence in Portland」を設立すると発表した。米国の半導体技術開発拠点をこの新拠点に集約し顧客の技術革新を支援し、技術・経営課題の解決に貢献するとしている。
Hitachi High-Tech Americaは、2014年、オレゴン州ヒルズボロ市にプロセスエンジニアリングセンタを設立し、半導体製造のエッチング工程での研究開発・生産を支援する拠点として顧客の技術課題解決に貢献してきたが、半導体の先端技術開発で、今後ますますの伸長が期待される米国において、これらの支援に加えて、半導体製造の各製造工程で顧客と協力して開発期間の短縮、生産性・歩留まり向上に向けた協業を図るため、技術開発拠点を集約した新たなエンジニアリング協創拠点を設立することにしたという。
新拠点は、鉄筋コンクリート地上2階建てで、延床面積は約2万348m2、2022年8月の竣工を予定している。新拠点では顧客とのコラボレーションエリアも設け、日立が進めるLumadaソリューションの重要な取り組みの1つとして、日立ハイテクグループのコア技術である「見る・測る・分析する」技術を用いた最新の加工、検査・計測、解析装置と、日立製作所のIT、OT技術を組み合わせ、より一層顧客との密接な連携を実現するとしている。
なお、同じく日本の半導体製造装置メーカー大手である東京エレクトロンはすでに、Intelの拠点があるオレゴン州とMicron Technologyの拠点があるアイダホ州に同種のサービス拠点を設置し、日本から多数の技術者を派遣して大手顧客である半導体メーカーと一緒になって製造ラインの問題解決や次世代プロセス開発を進めている。半導体製造装置各社は、米国のみならず、韓国や台湾、中国でもこうした取り組みを進めており、大手顧客(半導体メーカー)に近いところでサービス拠点を設け、多数の技術者を日本から派遣して顧客と一体となってプロセス開発や製造問題解決にあたる体制を整えないとビジネスチャンスがつかめない状況になってきていると言えるだろう。