大日本印刷(DNP)は5月28日、微粒子製品を扱う企業向けに、顕微鏡画像により製品の粒子径や形状、表面の状態などを解析する「DNP粒子画像解析ソフト」を開発したと発表した。AI(人工知能)を利用したディープラーニング(深層学習)技術を適用しており、画像処理の専門知識が無くても利用できるという。微粒子製品を扱う素材や製品のメーカーを始め、多様な業種の企業や、大学その他の研究機関に向けて販売し、2025年度に年間5億円の売上を目指す。
レーザー回折や光分散による粒度分布計では、アスペクト比が高い粒子の正確な粒径を測定できず、異形の粒子も解析できないため、微粒子製品を扱う企業の多くは現在、電子顕微鏡画像を用いているという。
この測定は、画像から粒子を検出して粒径や個数を測定するまでに多くの時間を要し、さらに目視で解析する作業者の熟練の技術が必要とのこと。また、画像処理ソフトウェアを用いた粒子の測定は、画像処理技術の専門知識が必要になる他、撮影条件が変わるたびに画像処理の設定調整が必要になるため、誰もが容易に使いこなせないといった課題があったとしている。
新製品は、グラフィックボード(GPU)を搭載した一般的なPCで動作するとのこと。電子顕微鏡画像を元にAIが粒子の検出と分類を行い、その結果を画像・表・グラフで表示する。微粒子製品の解析の効率化と解析時間の短縮を実現し、熟練技術が無くても定量的なデータを取得できるという。
同製品における検出では、電子顕微鏡画像から個々の粒子を検出する。画像内部の粒子がある領域とそれ以外の領域とを判定するために、AIを使用する。分類では、検出した個々の粒子に対して粒子のタイプを自動的に分類する。ソフトの利用者が形状や表面状態などのタイプが異なる粒子の一部をクラス分けし、そのデータを元にAIが全ての粒子に対して分類する。
学習に関しては、ソフトの利用者が、検出から分類を行うAIへの学習が可能という。 AIの学習は、解析対象となる電子顕微鏡画像の一部を使用し、容易な操作によって教師データを作成して行うとのこと。