感染力が英国型よりさらに強いと恐れられている新型コロナウイルスのインド型変異株が国内で拡大傾向にあることが26日、厚生労働省の集計で明らかになった。同日までに確認されたインド型の国内感染者は7都府県で29人に達し、厚労省に助言する専門家組織の脇田隆字座長(国立感染症研究所長)は、今後国内のウイルスがインド型に置き換わる可能性はかなり高いとの懸念を示し、警戒を呼びかけた。
専門家組織の会合は26日午後開かれ、会合に提出された厚労省資料によると、インド型の累計の感染確認者は千葉県と大阪府が最も多く各6人で、次いで東京都と静岡県が各5人。そのほか兵庫県4人、神奈川県2人、広島県1人の計29人。18日までの確認は8人だったので約1週間で3倍以上に増えた計算になり、拡大傾向がはっきりしてきた。
国内では、検疫所でインド型の感染者が160人報告されており、「水際」で見つかった例も含めると合計189人となった。26日夜記者会見した脇田座長は「(インド型への)置き換わりが起こる可能性はかなり高いだろう」「(インド型は)英国型より1.5倍の感染力があるのではないかということが疫学的な情報から示されている」などと述べ、全国的な監視体制の強化を求めた。
国立感染症研究所は英国型(変異はN501Y)、南アフリカ型、ブラジル型、フィリピン型(いずれもN501YとE484K)、インド型(L452R)の5つの株を「懸念される変異株」(VOC)に分類している。
厚労省資料で同省は、英国型の感染性は「従来型より推定1.32倍強い」、重篤度は「従来株より1.4倍強い」と推定する分析があると指摘している。インド型の感染性については「高い可能性」と慎重な表現にとどめている。しかしインド型の感染性について26日夜に脇田座長が言及した「英国型より1.5倍強い可能性」情報を基に単純計算するとインド型の感染性は従来型の約2倍も強いことになる。
26日の専門家組織会合は現在の感染状況について検討。「大都市圏では人流の減少が見られたが、英国型への置き換わりが進む中で新規感染者の減少につながるまで以前より長い期間を要している」「英国型変異株の割合が全国で約8割になり、一部の地域を除いて従来株からほぼ置き換わったと推定される」などする分析結果をまとめた。
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