米オラクルは5月25日(現地時間)、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)において、Armベース初のコンピューティング・サービス「OCI Ampere A1 Compute」を提供開始したと発表した。今回、米オラクル OCI コンピュート製品管理担当バイスプレジデントのマット・レナード氏に話を聞いた。

  • 米オラクル OCI コンピュート製品管理担当バイスプレジデント マット・レナード氏

レナード氏は、「サーバのCPUは変遷を遂げてきたが、開発者が新たなインフラを用いて開発できる環境を構築することが重要」と述べ、現在、Armをベースとしたインフラ環境や開発環境が求められていることに言及した。

「OCI Ampere A1 Compute」は、仮想マシンおよびベアメタルの両タイプが提供される。仮想マシンは1OCPUから80OCPUまで、コア当たりのメモリは1GBから64GBまで対応し、コアとメモリの比率は変化可能だ。ベアメタル・サービスは160コア、1TBのメモリで固定されている。また、各コアは、64KBのL1 Iキャッシュ、64KBのL1 Dキャッシュ、1MBのL2 Dキャッシュを備えたシングルスレッド仕様となっている。そのため、パフォーマンスにばらつきがないという。

レナード氏はOCI Ampere A1 Computeの特徴について、「シングルスレッドのコアなので、リニアにスケールできる。これにより、コア当たりのパフォーマンスがコア数の増加とともに低下することがなくなり、ユーザーが支払う金額に見合ったパフォーマンスを得ることができるまた、コアの共有がないので、安全性も高い」と語った。

オラクルはOCIの強みとして、コストパフォーマンスを標榜しているが、OCI Ampere A1 Computeも同様のようだ。1コアの料金は1時間当たり0.01米ドル、1GBメモリの料金は1時間当たり0.0015米ドルとなっている。

同社のベンチマークでは、OCI Ampere A1上でx264ビデオ・エンコーディングのワークロードを実行した場合、x86ベースのシステムと比較して、最大10%の性能向上、最大22%の価格性能を確認できたという。

オラクルはこれまで、OCIを初めて利用する開発者に対して、「OCI Ampere A1 Compute」の提供に伴い、新しいArm Acceleratorプログラムが提供される。これにより、OCIを初めて利用する開発者は3つのサービスを利用することができる。

1つ目のサービスは「Oracle Cloud Free Tier」で、30日間で300米ドルの無償クレジットを受け取ることができる。2つ目のサービスは「Always Free Arm」で、4つのA1コアと24 GBのメモリの提供を受けられる。3つ目のサービス「Arm Acceleratorプログラム」は、必要なリソースが「Oracle Cloud Free Tier」では足りないArmベースの開発プロジェクトを推進しているオープンソース開発者、ISVパートナー、お客様、大学を対象としており、オラクルの審査に基づき、「Oracle Cloud」のクレジットを12か月間受け取ることができる。

レナード氏はOCI Ampere A1 Computeの提供の狙いの一つとして、「Armのエコシステムを拡大させる」ことを強調していたが、開発者が容易にOCI Ampere A1 Computeを利用できるよう、「Oracle Linux Cloud Developer」イメージが用意された。

「Oracle Linux Cloud Developer」を利用することで、OCIクライアント・ツール、ユーティリティ、一般的なプログラミング言語(Java、GraalVM、Python、PHP、Node.js、Go、C/C++など)を含む開発環境をインストール・構成・起動できる。開発者イメージは、OCIコンソールから容易にアクセスおよび展開することが可能。