宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月27日、研究を進める月面でのモビリティ「有人与圧ローバ」の実現に向けて、タカラトミー、ソニーグループ、同志社大学と協力して「変形型月面ロボット」を開発し、ispaceの民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」の2022年実施予定の月着陸ミッションにて、月面でのデータ取得を行う計画であることを発表した。
有人与圧ローバが走行する月面は、地球と比べて重力が6分の1であり、かつレゴリス(月の表面を覆う砂)が一面を覆っているなど、地球とは異なる環境であり、JAXAでは2019年度から開始した有人与圧ローバのシステム概念検討の結果、自動運転技術および走行技術の詳細検討に向けて、月面のデータを取得する必要があると判断し、今回の計画を実施することを決定したという。
具体的には4者が共同で開発する直径約80mm(変形前)、重量約250gの変形型月面ロボット1機をispaceの月着陸船(ランダー)にて月面に輸送。月面を実際に走行させてレゴリスの挙動や月面での画像データなどの取得を目指すという。
JAXAでは取得したデータをもとに、有人与圧ローバの自己位置推定アルゴリズムの評価や走行性能へのレゴリスの影響評価などを行っていくとしている。
なお、同変形型月面ロボットは2016年よりタカラトミーとJAXAが筐体の共同研究を進めてきているもので、その後、2019年にソニーが、2021年に同志社大学がそれぞれ加わり、タカラトミーおよび同志社大学の有する筐体の小型化技術、ソニーの有する制御技術、そしてJAXAの有する宇宙環境下での開発技術・知見を活かす形で、開発が進められているという。