リモートワークでのチームワークはこれまでとは違う工夫が必要だ。雑談タイム、Slackのチャンネルなどが知られるが、在宅作業がマンネリ化したメンバーの気分を変えるにはどうすればいいか?ゲームの要素を取り入れるゲーミフィケーションが有効だという。
American Expressの情報サイトOpen Forumの記事で金融や製薬業界まで広くビジネスの話題を取り上げるフリーランサーのSarah Fister Galeさんが「How to Increase Productivity by Gamifying Your Remote Team」(いかにリモートチームにゲーミフィケーションで生産性を高めるか)として具体的なやり方を紹介している。
リモートでチームのメンバーが作業していると、孤独になりがち。定期的にミーティングを開き、チャットなどで連絡をとっていたとしても、やはり対面で「進んでる?」と聞くのとは違う。一人なので生産性が高まる場合もあるが、他のメンバーの存在がないことで生産性が落ちるという人もいるかもしれない。職種や業務によって大きく異なることだろう。ただ、何気ない会話やちょっとした応答がアクティブなモチベーションに貢献する場合がある。
キングス・カレッジ・ロンドンのKirk Plangger教授は、「ゲーミフィケーションは、面白くない活動に面白さと感情を吹き込んでくれる。外発的報酬をもたらし、内発的なモチベーションが欠如した従業員が克服するのを助けてくれる」と、その効果に太鼓判をおす。ゲーミフィケーションを支援するアプリもある。記事では、Hoopla(https://www.hoopla.net)、Mambo(https://mambo.io)、Plecto(https://www.plecto.com)を紹介しているが、執筆時に日本語版はない。
ゲームのメカニズムを用いることがゲーミフィケーションだ。つまり、スコアボード、ポイント、バッチなどを使って、業務上のタスクや行動を競争にし、より良い成果を目指す。実際に試しているというTouchpoint One(米国のコンタクトセンターの業績管理ソフトウェアベンダー)のCEO、Greg Salvoto氏は、「メンバーが達成すべきことにフォーカスするようになった」と効果を表現している。
早速取り入れたいと思う人も多いだろうが、いくつか注意点がある。まず、ゲーミフィケーションは仕事をゲームにすることではないという点だ。ポイント重視で仕事がゲームになると本末顛倒してしまう。これは要注意だろう。また、競争はあくまでもフレンドリーにとアドバイスする。同じ社員、チームなのだから、楽しめることを最優先してゲーミフィケーションしたい。
ギグワーカーが中心の米国の配送サービスGoShareでは、ギグワーカー向けのアプリにポイントシステムを導入。スコアボードで自分のポイントがわかり、地域や全国でどのぐらいかが比較できる。ポイントが高い人がフォーラムで自分のポイントを披露することもあり、コミュニティの感覚が生まれているそうだ。記事では、ゲーミフィケーションを取り入れるにあたってポイントを次のように示している。
1.データをメンバーが共有できるようにする
2.事業上の数値(効果)をきちんと把握する
3.ルールをシンプルに
4.ソーシャルの要素を取り込む
5.ケアしていることを示す
確かに、苦労する所作が"楽しく"思えれば強い味方になりうる。筆者は多くの方同様に、特定のフォルダにテキストや画像なりの生産物を投げ込んで保管管理している。以前は、このフォルダが完成物の倉庫であり、"楽しさ"として機能していた。しかし、この所作の面白さは長い月日を経てマンネリ化している。最近インストールしたPower Automate Desktop無償版でフォルダに楽しさを加えてみた。Power Automateの[フォルダー内のファイルを取得]にデスクトップ上のフォルダを指定、Outlookを起動しあからじめ設定したメールアドレスに送信する。本文に「ただいまの成果物は%Files.Count%個です。」と書き込んでおけば、フォルダの中のファイル数がカウントされて自動送信される。各自がチーム内それぞれ定期的に実行するとメールでカウント状況と成果物が送信される。多少のゲーム要素が加わるように思うが、いずれにせよ個人的にはファイルケースである"フォルダ"への興味が改めて湧いたのであった。