古河電気工業(古河電工)は5月24日、ライフサイエンスを新たな事業領域とする取り組みを開始することを発表した。

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    古河電工のライフサイエンス事業の方針 (資料提供:古河電工)

具体的には、これまで培ってきたフォトニクス技術の「光で見つける」、「光で測る」、「光で焼く」という3つの技術を活用し、治療や診断といった医療行為に近い分野に向けたアプリケーションの創出を目指すとしている。

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  • 3つのフォトニクス技術の「光で見つける」、「光で測る」、「光で焼く」の適用アプリケーション例とそれぞれのロードマップ (資料提供:古河電工)

ただし、1社では解決できない社会課題があるという想定から、パートナーとの共創をオープンイノベーションで進める必要があると考えており、その第1弾として光学測定技術を用いた測定プラットフォームを開発するアトナープに対する戦略的出資を2021年3月に実施、アトナープが開発を進めているライフサイエンス向け測定プラットフォーム「ATON-360」の実用化に向けた共同開発を進め、小型化を可能とする光学モジュールの提供についても検討していくとしている。

ATON-360は、極微量の検体に含まれるあらゆる成分を試薬や消耗品を不要としつつ、リアルタイムに定量できることが可能な分析装置。複数の血液検査項目を同時に測定可能で、すでに研究レベルでは認証機関が要求する医療機器基準の測定精度を達成済みだとしている。

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    アトナープの概要 (資料提供:古河電工)

このほかにも、3つの技術を活用する形で製品ロードマップがそれぞれ考えられており、体外からワイヤレスで給電して体内で医療機器に搭載されたLEDを発光させ、その位置を検知する非接触給電技術など、早いものであれば2022年度には商品化できる見通しだという。同社では、3つの技術の方向性それぞれに適したアプリケーションの開発を進めていくことで、2030年にライフサイエンス事業で売上高1000億円超を目指すとしている。