日立製作所(日立)は5月24日、電力や鉄道、上下水道など、社会インフラ事業者向けに、リモート環境からの参加を可能としたサイバー防衛訓練サービス「オンラインNxSeTA」を6月1日より提供開始すると発表した。

  • オンラインNXSeTA利用イメージ

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同サービスは、従来日立の大みか事業所や顧客拠点や事業所で、重要インフラ分野での高度なセキュリティ人材を育成する場として訓練実績を重ねてきた「サイバー防衛訓練サービス(NxSeTA)」をオンライン化したもの。

日立は、2017年に大みか事業所内に開設したNxSeTAに加え、2020年に、顧客拠点でNxSeTAと同様の訓練を可能とする「ポータブルNxSeTA」の提供を開始した。2020年には約30社の企業がNxSeTAを利用し、約1000名の社員がサイバー訓練を行ったとしている。

  • オンラインNXSeTAのサービス概要

今回新たに提供を開始する「オンラインNxSeTA」は、リモート業務に対応して、自宅やサテライトオフィスなど、場所を限定せず、遠隔から訓練や講義の受講が可能だ。特に、リモート環境下では、従業員間の相互連携がより重要になるため、各種業務ツールを活用した訓練メニューを提供するとしている。実制御システムの構成を模擬しており、電力、鉄道、産業などの重要インフラにおいて、よりリアルな演習が可能となっている。

また、個人および組織におけるセキュリティスキル向上に向けて、コミュニケーション力やレジリエンスなど多様な評価軸としてSafety-II(日々変動する状況に応じて調整、回復を行うことで影響を軽減しシステムを維持する安全の概念)などを用いた訓練評価を行い、段階的にスキルアップが図れるように、継続的な効果教育・訓練計画を提案する。

さらに、人材面の強化のみならず、訓練で得られた課題に対し、システム面や運用面においても、日立が運用ノウハウやIT技術をもとに、セキュリティ施策の改善支援も実施し、コンサルティングからセキュリティ施策の導入・運用までトータルに支援していくとしている。

同サービスの提供価格は、企業のIT環境などによって異なるがおよそ数百万円のオーダーとなっているという。

日立は今後、同サービスの適用業種を広げ、社会インフラ事業者のみならず、製造業や物流・小売りなど、幅広い業界に活用できるようサービスの拡充を図る。なお、「オンラインNxSeTA」を含めたサイバー防衛訓練サービス全体で、2021年には50社(1500人)、2022年には70社(2000人)の導入を目指す方針だ。