半導体市場調査会社の台TrendForceによると、2021年第1四半期の半導体アセンブリ・パッケージング/テスト受託企業(OSAT)トップ10社の売上高合計は前年同期比21.5%増の71億7000万ドルに達したという。
多くのOSAT企業が2桁成長を達成しており、その背景には、在宅勤務などによるPCやデータセンター需要が高まったこと、ならびに欧米でのワクチン接種の開始による経済活動の活発化、東京五輪に向けた電子機器需要の増加といったものが挙げられるという。
また、2020年第2四半期以降、顕著となった最終製品メーカーによる積極的な部品調達による半導体不足を受け、OSATも価格を徐々に上昇させたこともあり、多くのOSATが好業績を記録したともしている。
OSAT業界のリーダーとして揺るがぬ2大企業
OSAT業界のリーダー格とも言えるのが台ASE(日月光集団と米Amkor Technologyで、同四半期におけるASEの売上高は同24.6%増の16億9000万ドル、Amkorの売上高は同15.0%増の13億3000万ドルとなった。
ASEは、ノートパソコン、通信機器、およびサーバに使用されるチップに対するワイヤボンディングサービスの供給を強化しており、成熟したチップパッケージング能力と高度なチップパッケージング能力の両方に対応する能力を確保できているとする。一方のAmkorは、主に高度なパッケージング技術開発に注力しており、5G、自動車、ノートパソコン向けチップといった先進半導体市場でのプレゼンスを積極的に拡大することに焦点を当てているという。
2大巨頭に対し、台SPILならびに台PTIは、Huaweiが米国のエンティティリストに追加された後に、そのギャップを補うことがなかなかできなかったこと、ならびにメモリ業界のクライアントが在庫調整を行ったことなどから、SPILの売上高は同6.4%増の8億5800万ドル、PTIも同3.5%増の6億4600万ドルと、比較的低い伸び率となった。ただし、同じくHuaweiの影響を受けた台KYECの売上高は同15.2%増の2億6700万ドルと、いち早く収益を上昇軌道に乗せることに成功した模様である。
躍進が続く中国OSAT3社
中国の3大OSAT企業であるJCET、TFME、HuaTianに関しては、中国と米国の間で緊張が続いているため、中国政府が自動車チップ、メモリ、5Gベースステーションコンポーネント、パネルドライバICといった半導体の国内製造に注力する姿勢を見せているため、その需要の高まりから成長が続いている。
そのため、JCETの売上高は同26.3%増の10億3300万ドル、TFMEは同62.0%増の5億300万ドル、HuaTianは同64.9%増の4億ドルといずれも高い成長率を達成している。
このほか、パネルドライバICを専門とするOSATである台Chipbondは、大型パネル(テレビやIT製品用)や中小型パネル(タブレットや自動車用ディスプレイ用)の需要が急増し、COFパッケージング技術の需要が高まるという恩恵を受ける形で、同四半期の売上高は同22.3%増の2億2700万ドルを記録した。一方の台ChipMOSもDRAMとNANDの需要回復を活用する形で、売上高は22.3%増の2億2500万ドルと2桁成長を達成している。