横浜市立大学(横浜市大)は5月20日、2020年8月より進めている「新型コロナウイルス感染症回復者専用抗体検査PROJECT」の一環として、2021年3月末までに採血を実施した約250例のデータを解析したところ、新型コロナウイルス感染症の感染から1年後において、従来株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体の量はいずれも6か月時点より緩やかに減少する傾向にあることを確認したこと、ならびに依然として多くが従来株に対する抗ウイルス抗体および検出可能な量の中和抗体を有しているという結果が得られたと発表した。
同成果は、横浜市立大学学術院医学群 臨床統計学の山中竹春 教授、同微生物学の梁明秀 教授、同データサイエンス研究科の後藤温 教授らの研究グループによるもの。
また、研究グループでは国内で感染が拡大している変異株に対する中和抗体を獲得しているかについてもあわせて調査を実施したとしており、それによると、変異株に対する中和抗体の保有割合は、従来株に比べて低下する傾向を確認したとしている。
なお、研究グループでは今後、変異株の種類のさらなる増加も予想されるため、新たなコロナ変異株が登場した際に、変異株に対する中和抗体保有の状況を集団レベルですみやかに調べることが必要であることを踏まえ、同大が開発した各種の検出技術を他機関や民間企業などを通じて社会実装につなげられるよう、検証を進める予定だとしている。