コクヨグループで通販事業を営むカウネットは、ドリーム・アーツの「SmartDB」を利用して、商品開発業務の効率化を図っている。
カウネットはコクヨ製品のほか、他社の文房具や事務用品などを販売するが、「顧客の困りごとを解決する」をポリシーに、「カウコレ」というオリジナル商品を開発して販売している。主なターゲットは法人だが、最近は個人ワーカーをターゲットにした商品の開発も拡充している。
オリジナル商品は、商品企画部が企画を立案。社長承認を経て、商品開発部に回される。企画段階から商品開発部と一緒に進めている商品も多いという。オリジナル製品は、年間100点ほどを、およそ12人で商品開発している。
商品開発工程はサプライヤーと何度かやりとりして仕様を固め、サンプルを作成。上がってきたサンプルに改善を加え、商品化の目途が立った場合は、製造原価も含め、会社に製品化の申請を行うという流れだ。
「新製品の開発では、毎回、社長をはじめ役員に見てもらい、承認をもらってから進める手順になっています」と、カウネット MD本部 商品開発部 有井宏氏は語る。
ただ、以前は商品開発部の各担当者が個人ベースでデータや進捗を管理しており、商品開発が予定通りなのか、問題は発生していないかなどを、他の社員が把握することが難しかったという。
「そもそも、商品企画を誰が担当し、その企画を商品開発部の誰が引き継ぎ、どういうフローで進めていくかというのが明確になっていませんでした」と、カウネット 管理統括部 品質管理ユニット 大竹陽氏は以前の商品開発フローの問題点を説明した。
商品の企画データも担当者間でメールで送ったり、共有サーバに格納したりと、やり方が担当者でまちまちだったという。
さらに、それぞれの承認ステップで何を確認するのかも明確になっていなかったという。
「上司を含め、商品開発がスケジュール通り進んでいるのかどうかがわかりませんでした。毎月、進捗を各担当に聞く必要があり、管理しきれませんでした。中には、承認を経ずに先に進めているケースもありました」(大竹氏)
そこで、大竹氏は商品開発の標準化を提案。2018年から統一のルール作りを始め、同時にドキュメントのフォーマットの統一を行ったという。
「現場は不便さを感じていなかったと思いますが、うまくできている人もいれば、できていない人もおり、商品開発工程をきちんと管理できていないとなると、会社としても良くないですし、引継ぎの際も問題になると思いました」と、大竹氏は標準化の背景を語った。
「企画シート、開発シートは、お客様の感じるメリットは何かを明確にするようにしました」(大竹氏)
そして、できあがったルールは、「SmartDB」を導入してシステム化した。「SmartDB」を採用したのは、それまで社内で使っており、馴染みがあった点と、コストメリットが大きな点が理由だという。
「システム化では、使いやすさも含めて使う人が納得感を得られることを重視しました。他社さんでは、一度作っても使われずに放置されているシステムもたくさんあるので、その1つにしてはいけない思いました。作り込んでも組織が変わったり、世の中が変化した場合、ステップを追加しないといけないので、あまり作り込み過ぎず、自分たちで修正できるようにシンプルさを目指して作りました」(大竹氏)
システム化について有井氏は、「抜け漏れがなく、すぐに確認できる点と、上司が管理がしやすくなった点がメリットだと思います。一番大きいのは、きちんとステップを踏んでプロセスを進めていくことが、各担当に根付いた点です。また、フローも後で確認できるようにデータとして残っていくので、個人ではなく会社の責任として商品開発できるのが良い点だと思います」と述べた。
システム化した当初は、データの入力の仕方にばらつきがでるという問題もあったが修正し、現在は改善作業はほぼ終わっているという。
また、承認も以前はタイミングを見計らって上司の席まで印鑑をもらいに行っていたが、システム上で承認ができるようなったので、フローのスピードも上がったという。
「会社が求めるスピード感に対応できた点も良かったと思います」と有井氏は語った。