大成建設とソフトバンクは5月10日、第5世代移動通信システム(5G)とロボットアームによる遠隔操作システムを使用して細胞培養工程におけるピペット作業の遠隔操作を目的とする実証実験を、ソフトバンクの新本社ビルである東京ポートシティ竹芝と大阪市の5G X LAB OSAKA間で両社が共同で実施したと発表した。
今回の実証実験では、ソフトバンクが提供する5Gネットワーク環境において、大成建設が2019年から開発を進めている「細胞培養向けピペット作業遠隔操作システム」を使用した。
その結果、遠隔地間でのロボットアームの操作を実現し、ピペット作業の正確性などを確認できたという。また、これまで実現していなかったピペット作業の詳細な操作データの取得に成功した。
今回の実験結果として両社は、東京・大阪間でロボットアームを使ったピペット作業の遠隔操作の実現、遠隔操作の低遅延化の実証、遠隔操作のデータ化の実現の3点を挙げている。
遠隔操作に関しては、5Gにより互いの拠点の状況を高画質映像としてリアルタイムでの伝送が可能になるため、東京で大阪に設置した培養液や細胞の様子を鮮明な映像で確認しながら緻密なピペット作業を正確に行い、大阪にあるロボットアームと動きを同期できたという。
低遅延化については、東京からの動作指示が低遅延で大阪側のロボットアームに届くなど、ロボット制御やピペット作業、高画質の映像伝送など全ての過程でスムーズな操作を実現した。
遠隔操作のデータ化に関しては、ロボットアームやピペットの詳細な遠隔操作データをリアルタイムで記録・蓄積したとのこと。これらのデータをもとに、ロボットアームの任意の動作を選択して遠隔操作を自動的かつ正確に再現可能になるという。